- 著者
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薄田 勝男
斎藤 泰紀
遠藤 千顕
高橋 里美
菅間 敬治
佐川 元保
佐藤 雅美
太田 伸一郎
永元 則義
本宮 雅吉
藤村 重文
- 出版者
- 特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
- 雑誌
- 呼吸器外科 : 日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09174141)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.4, pp.394-400, 1991-05-15
10例の乳糜胸(外傷性7例,特発性3例)を対象に治療法を検討した.外傷性乳糜胸は全例手術後(肺癌5例,食道癌1例,縦隔平滑筋腫1例)に発症し,1日の乳糜漏の最大量は150〜1650ml(2.4〜36ml/kg)であった.再開胸術を施行した6例の乳糜漏のコントロールは良好であった.外傷性乳糜胸の場合,成人例で1日17ml/kg以上の乳糜漏を示すものに手術療法の適応がある.特別性乳糜胸は3例とも女性で,両側性が2例,左側が1例であった.両側性乳糜胸のうち,開胸術・中心静脈栄養法・胸腔内持続ドレナージ等の積極的治療を施行した1例は術後6年7ヵ月後生存中であるが,低脂肪食・胸腔穿刺・胸膜癒着療法等の保存的治療のみを施行した1例は,著明な拘束性換気障害を合併し3年後死亡した.特発性乳糜胸では,保存的治療で拘束性換気障害を招く前に,十分な検索を行ったのち積極的に手術療法を選択すべきである.