著者
佐藤 雅美 斎藤 泰紀 遠藤 千顕 薄田 勝男 高橋 里美 菅間 敬治 佐川 元保 永元 則義 藤村 重文
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.638-642, 1993
被引用文献数
15 5

悪性中皮腫11例を対象に進展再発様式を検討したその結果, 血行性転移のみの例は無くリノハ行性転移のみの形態をとった例か4例, 血行性およひリノハ行性転移か4例見られたまた術創, 穿刺部位の播種か各1例, 腫瘍か臓側胸膜に浸潤したために発症したと考えられる気胸か4例見られた組織学的に肺門肺内リノハ節を検索しえた3例すへてに転移かみられた肉眼的に完全に切除されたと考えられた症例ては1例を除くと初再発部位は縦隔リノパ節, 術創, 術側胸水と局所再発の形態をとり全例6ヵ月以内に再発していたこれらの事より悪性中皮腫に対しては肺門, 縦隔をも加えた系統的なリノハ節郭清や術中の胸腔内洗浄, 術衣, 手術器械の交換なとを考慮すへきと考えられたまた高齢者の気胸症例ては本疾患を念頭におくへきと考えられた
著者
佐川 元保 桜田 晃 芦澤 和人 前田 寿美子 中山 富雄 負門 克典 玄馬 顕一 小林 健 鳥居 陽子 竹中 大祐 丸山 雄一郎 三友 英紀 室田 真希子 梁川 雅弘 澁谷 潔 祖父江 友孝 原田 眞雄 三浦 弘之
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.351-354, 2022-10-20 (Released:2022-10-28)

日本肺癌学会肺がん検診委員会は,2022年に「肺がん検診ガイドライン」の改訂を行った.本稿では改訂に至った経過とその概要について解説する.「現行検診」に対する「推奨」は2010年ガイドラインから変化はなかった.全国的な精度管理の徹底や,国全体の死亡率減少効果への寄与度や感度・特異度の測定などに関する評価が必要である.「重喫煙者に対する低線量CT検診」は,欧米において肺癌死亡率減少効果のエビデンスが得られたが,過剰診断,偽陽性,放射線被ばくなどの不利益は無視できない.安易な導入を行って混乱する事態を避けるためには,まずは適切な「実装研究」を行うことにより,日本の社会にどのように導入することが望ましいのかを検討することが重要である.一方,「非/軽喫煙者に対する低線量CT検診」は,現在のところ有効性のエビデンスは十分でないため,それを集積することが第一に重要である.
著者
佐川 元保 中山 富雄 芦澤 和人 負門 克典 小林 健 櫻田 晃 佐藤 雅美 澁谷 潔 祖父江 友孝 竹中 大祐 西井 研治 原田 眞雄 前田 寿美子 丸山 雄一郎 三浦 弘之 三友 英紀 村田 喜代史 室田 真希子
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.929-935, 2020-12-20 (Released:2020-12-28)
参考文献数
2
被引用文献数
1

「肺がん検診の手引き」は2020年に大幅な改訂を行った.この稿では特に重要と思われる「胸部X線検診の読影医の条件」と「症例検討会の実施」に関して背景とねらいを解説する.2017年版の読影医の基準はわかりにくいという批判が多くの自治体職員から寄せられており,改訂が必要であった.2020年版では,「症例検討会等におおむね年に1回以上参加すること」を条件とするとともに,上級医には読影経験も条件とした.「症例検討会」を実施する場合の留意点に関しても併せて述べた.本稿が今後の肺がん検診の精度管理に役立つことを望みたい.
著者
太田 伸一郎 橋本 邦久 仲田 祐 佐藤 博俊 斎藤 泰紀 薄田 勝男 菅間 敬治 佐川 元保 佐藤 雅美 永元 則義 今井 督 須田 秀一
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.122-130, 1986
被引用文献数
9

自験例13, 222件の気管支造影像で発見された気管支分岐異常71例, 85件について検討した。分岐異常は, 中枢気道に関係する区域支までの異常に限定し, 右B^7の欠如・左B^7の存在・左右Bは分岐異常にいれなかった。分岐異常の出現頻度は0.64%であり, 右上葉の異常が全体の75.3%を占めていた。転位気管支の頻度は過剰気管支の7.2倍であり, 気管気管支が全体の31.8%を占め最も多かった。中支から上葉区域支が分岐していたものが10例あり, そのうち8例は, 残る上葉区域支も気管気管支で異常分岐であった。極めて稀な分岐異常としてdouble right tracheal bronchusの1例を経験した。気管支分岐異常に合併した奇形(ASD, 頸肋, 肋骨欠如)を検討し, これら奇形の発症時期と気管支の発生時期とが符合していたことから, 胎生5週初めから6週末までの子宮内環境が気管支分岐異常の発生誘因になりうると考えられた。
著者
佐川 元保 西井 研治 原田 眞雄 前田 寿美子 丸山 雄一郎 三浦 弘之 三友 英紀 村田 喜代史 中山 富雄 芦澤 和人 遠藤 千顕 小林 健 佐藤 雅美 澁谷 潔 祖父江 友孝 竹中 大祐
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.73-76, 2018

<p>肺がん検診は1987年に導入されたが,当初,多くの自治体や検診機関は「二重読影や喀痰細胞診の方法がわからない」状況であり,肺がん検診セミナーはそれらの需要に応えるものであった.それから30年以上経過し,「肺がん検診の方法を全国に広める」という本セミナーの当初の役割はほぼ達成され,同形態での実施の必要性は乏しくなった.精度管理の全国的な均てん化は不十分だが,セミナーという形態では改善できない.一方,肺癌診療医の読影技術向上への意識は高いが,学術集会においてそれに資するプログラムは少ない.また,学会員の多くが検診発見肺癌例の診療をしているにもかかわらず実際の検診に携わっていない現実を考えれば,「肺がん検診」の仕組みや現状に関する教育的な講座の必要性は大きい.そこで,2017年で「肺がん検診セミナー」を終了し,学会員対象で学術集会に組み込む以下の①②③と,地域での検診従事者を対象とした④へ移行することにした.①若手~中堅医師に対する「肺がん検診」のシステムや現状などについてのレクチャー.②気軽に参加できる読影セミナー.③必要時に,学術集会長に委員会企画枠を依頼.④検診技術・精度管理に関する地域での検診従事者講習会などの講師に委員を推薦.</p>
著者
薄田 勝男 斎藤 泰紀 遠藤 千顕 高橋 里美 菅間 敬治 佐川 元保 佐藤 雅美 太田 伸一郎 永元 則義 本宮 雅吉 藤村 重文
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
呼吸器外科 : 日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09174141)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.394-400, 1991-05-15

10例の乳糜胸(外傷性7例,特発性3例)を対象に治療法を検討した.外傷性乳糜胸は全例手術後(肺癌5例,食道癌1例,縦隔平滑筋腫1例)に発症し,1日の乳糜漏の最大量は150〜1650ml(2.4〜36ml/kg)であった.再開胸術を施行した6例の乳糜漏のコントロールは良好であった.外傷性乳糜胸の場合,成人例で1日17ml/kg以上の乳糜漏を示すものに手術療法の適応がある.特別性乳糜胸は3例とも女性で,両側性が2例,左側が1例であった.両側性乳糜胸のうち,開胸術・中心静脈栄養法・胸腔内持続ドレナージ等の積極的治療を施行した1例は術後6年7ヵ月後生存中であるが,低脂肪食・胸腔穿刺・胸膜癒着療法等の保存的治療のみを施行した1例は,著明な拘束性換気障害を合併し3年後死亡した.特発性乳糜胸では,保存的治療で拘束性換気障害を招く前に,十分な検索を行ったのち積極的に手術療法を選択すべきである.
著者
薄田 勝男 斎藤 泰紀 相川 広一 桜田 晃 陳 炎 遠藤 千顕 菅間 敬治 佐藤 雅美 佐川 元保 藤村 重文
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.875-881, 1994-10-20
被引用文献数
9

症例の寄せ集めといった人為的影響を極力排除するため, 一定地域で一定期間内で, tumor doubling time(DT)の検討可能な原発性肺癌例をいかなるselectionも行わないで収集し, それらを対象としてDTの分布および臨床病理学的特性を検討した.1)DTの対数変換後の分布は, 歪度が0.7204, 尖度が-0.0643と小さくなり, DTは対数正規分布に従がった.2)症例のDTは最小30日, 最大1077日であり, DTの算術平均は163.7±177.5日, 幾何平均は113.3日であった.3)DTの平均値は, 男性例が女性例に比較し, 喫煙例が非喫煙例に比較し, 有症状例が無症状例に比較し有意に短かった.またDTの平均値は, 扁平上皮癌および未分化癌が腺癌に比較し, T2, T3およびT4例がT1例に比較し, III期例がI期例に比較し有意に短かった.DTは密接に他の予後因子と関係していた.
著者
永元 則義 斉藤 泰紀 佐藤 雅美 佐川 元保 菅間 敬治 高橋 里美 薄田 勝男 藤村 重文 仲田 祐 大久田 和弘
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.399-405, 1993

胸部X線写真無所見肺癌切除例149例中に認められた37例の隆起性病変の気管支における増殖特性を検索し, 術式の選択について考察した。肉眼所見から四型に分類できた。隆起した癌が内腔に全周性に増殖し気管支を狭窄しているもの(AC型 : 輪状狭窄型), 非全周性に一部が内腔に突出し, その周囲に表層浸潤を伴うもの(PSE型 : 進展性ポリープ型)と伴わないもの(LP型 : 限局性ポリープ型)があり, LP型はさらに有茎性(PLP型)と無茎性(NLP型)に分けられた。これら四型についてさらに組織学的に検索し, 気管支壁への深達性, 癌の広がり, リンパ節転移を検討した。以上の結果, (1)四型とも気管支鏡検査で隆起型をある程度推定しうる可能性がある, (2)PLP型, 横径小のNLP型およびPSE型は局在部位によっては区域切除やスリーブ葉切の適応となりうる, (3)AC型と横径大のNLP型は癌の根治性から考えて標準的な術式が妥当であろう, と考えられた。
著者
江口 研二 足立 秀治 池田 徳彦 柿沼 龍太郎 金子 昌弘 楠 洋子 佐川 元保 鈴木 隆一郎 早田 宏 祖父江 友孝 曽根 脩輔 高橋 里美 塚田 裕子 中川 徹 中林 武仁 中山 富雄 西井 研治 西山 祥行 原田 真雄 丸山 雄一郎 三澤 順
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.985-992, 2003-12-30
被引用文献数
1 1

・低線量CT肺癌検診を実施することにより,非受診者群に比較して,受診者群の肺癌による死亡を有意に減少させるという成績は現在まで証明されていない.・低線量CT肺癌検診は,高危険群および非高危険群に対して,胸部写真による検診よりも末梢小型肺癌(腺癌)をより多く発見し,発見肺癌の6〜8割は病期I期肺癌である.・低線量CT肺癌検診では,受診者の被曝リスクを低減させるために,撮影条件,画像描出条件など読影環境を整備することが必要である.・低線量CT肺癌検診は,他のがん検診と同様に,検診の運営に際して,精度管理とその維持が必要である.・低線量CT肺癌検診の受診者には,検診一般の説明だけでなく,現状でCT検診の有用性に関するエビデンスの内容および想定される有害事象を含めて,説明と同意(インフォームドコンセント)を行うべきである.・医療経済学的な面も併せて,低線量CT肺癌検診の至適なあり方を確立するためには,解析可能な精度の高い実績を集積する必要がある.・本稿の低線量CT肺癌検診のあり方については現行の自治体検診時のCT検診,職域検診のみならず,人間ドックでのCT検診も念頭に置いたものである.