著者
佐藤 雅美 斎藤 泰紀 遠藤 千顕 薄田 勝男 高橋 里美 菅間 敬治 佐川 元保 永元 則義 藤村 重文
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.638-642, 1993
被引用文献数
15 5

悪性中皮腫11例を対象に進展再発様式を検討したその結果, 血行性転移のみの例は無くリノハ行性転移のみの形態をとった例か4例, 血行性およひリノハ行性転移か4例見られたまた術創, 穿刺部位の播種か各1例, 腫瘍か臓側胸膜に浸潤したために発症したと考えられる気胸か4例見られた組織学的に肺門肺内リノハ節を検索しえた3例すへてに転移かみられた肉眼的に完全に切除されたと考えられた症例ては1例を除くと初再発部位は縦隔リノパ節, 術創, 術側胸水と局所再発の形態をとり全例6ヵ月以内に再発していたこれらの事より悪性中皮腫に対しては肺門, 縦隔をも加えた系統的なリノハ節郭清や術中の胸腔内洗浄, 術衣, 手術器械の交換なとを考慮すへきと考えられたまた高齢者の気胸症例ては本疾患を念頭におくへきと考えられた
著者
太田 伸一郎 橋本 邦久 仲田 祐 佐藤 博俊 斎藤 泰紀 薄田 勝男 菅間 敬治 佐川 元保 佐藤 雅美 永元 則義 今井 督 須田 秀一
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.122-130, 1986
被引用文献数
9

自験例13, 222件の気管支造影像で発見された気管支分岐異常71例, 85件について検討した。分岐異常は, 中枢気道に関係する区域支までの異常に限定し, 右B^7の欠如・左B^7の存在・左右Bは分岐異常にいれなかった。分岐異常の出現頻度は0.64%であり, 右上葉の異常が全体の75.3%を占めていた。転位気管支の頻度は過剰気管支の7.2倍であり, 気管気管支が全体の31.8%を占め最も多かった。中支から上葉区域支が分岐していたものが10例あり, そのうち8例は, 残る上葉区域支も気管気管支で異常分岐であった。極めて稀な分岐異常としてdouble right tracheal bronchusの1例を経験した。気管支分岐異常に合併した奇形(ASD, 頸肋, 肋骨欠如)を検討し, これら奇形の発症時期と気管支の発生時期とが符合していたことから, 胎生5週初めから6週末までの子宮内環境が気管支分岐異常の発生誘因になりうると考えられた。
著者
薄田 勝男 斎藤 泰紀 遠藤 千顕 高橋 里美 菅間 敬治 佐川 元保 佐藤 雅美 太田 伸一郎 永元 則義 本宮 雅吉 藤村 重文
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
呼吸器外科 : 日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09174141)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.394-400, 1991-05-15

10例の乳糜胸(外傷性7例,特発性3例)を対象に治療法を検討した.外傷性乳糜胸は全例手術後(肺癌5例,食道癌1例,縦隔平滑筋腫1例)に発症し,1日の乳糜漏の最大量は150〜1650ml(2.4〜36ml/kg)であった.再開胸術を施行した6例の乳糜漏のコントロールは良好であった.外傷性乳糜胸の場合,成人例で1日17ml/kg以上の乳糜漏を示すものに手術療法の適応がある.特別性乳糜胸は3例とも女性で,両側性が2例,左側が1例であった.両側性乳糜胸のうち,開胸術・中心静脈栄養法・胸腔内持続ドレナージ等の積極的治療を施行した1例は術後6年7ヵ月後生存中であるが,低脂肪食・胸腔穿刺・胸膜癒着療法等の保存的治療のみを施行した1例は,著明な拘束性換気障害を合併し3年後死亡した.特発性乳糜胸では,保存的治療で拘束性換気障害を招く前に,十分な検索を行ったのち積極的に手術療法を選択すべきである.
著者
斎藤 泰紀 赤荻 栄一 永元 則義 佐藤 雅美 岡田 信一郎 太田 伸一郎 今井 督 須田 秀一 橋本 邦久 仲田 祐 中川 潤 佐藤 博俊
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.151-161, 1984

喀痰細胞診により発見された胸部レ線写真無所見肺癌21例について, 気管支鏡検査による局在部位同定法とその所見を検討した。全例扁平上皮癌であったが, 亜区域支より末梢に局在するものがあった。11例は, 正常粘膜からの高さが約2mm以上あり, ポリープ状隆起, 結節状隆起, 扁平な隆起等の目立つ所見を呈した。7例は, 約2mm以下の小結節, 表面の扁平な隆起・腫脹, 表面の不整等の目立たない所見を呈した。3例は無所見で, 気管支鏡可視範囲内にあっても病変が微細で認識できなかったものが2例, 気管支鏡可視範囲外の末梢にあり, レ線写真でも確認できなかったものが1例であった。これらの症例は, 気管支鏡下に, 気管支分泌物・洗浄吸引物・擦過物の細胞診, および生検を系統的に用いることにより, 局在部位を同定することが可能であった。
著者
薄田 勝男 斎藤 泰紀 相川 広一 桜田 晃 陳 炎 遠藤 千顕 菅間 敬治 佐藤 雅美 佐川 元保 藤村 重文
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.875-881, 1994-10-20
被引用文献数
9

症例の寄せ集めといった人為的影響を極力排除するため, 一定地域で一定期間内で, tumor doubling time(DT)の検討可能な原発性肺癌例をいかなるselectionも行わないで収集し, それらを対象としてDTの分布および臨床病理学的特性を検討した.1)DTの対数変換後の分布は, 歪度が0.7204, 尖度が-0.0643と小さくなり, DTは対数正規分布に従がった.2)症例のDTは最小30日, 最大1077日であり, DTの算術平均は163.7±177.5日, 幾何平均は113.3日であった.3)DTの平均値は, 男性例が女性例に比較し, 喫煙例が非喫煙例に比較し, 有症状例が無症状例に比較し有意に短かった.またDTの平均値は, 扁平上皮癌および未分化癌が腺癌に比較し, T2, T3およびT4例がT1例に比較し, III期例がI期例に比較し有意に短かった.DTは密接に他の予後因子と関係していた.