著者
本屋敷 涼 仲座 栄三 宮里 信寿 福森 匡泰 田中 聡 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.20-37, 2020

<p> 階段式護岸のステップ高は通常0.2~0.3m程度に設定されている.しかしながら,こうした緩勾配階段式護岸の勾配は人の歩行を考えて1/2~1/3程度に取られるため,占有面積が大きくなることや波の遡上高が高くなるなどの問題点を抱えている.階段式護岸設置の主な理由は,人の海岸利用や景観への配慮など親水性向上にある.したがって,実務設計者は,波の遡上高や反射率など防災上必要となる数値的な把握のみでなく,実際に護岸上で繰り広げられる砕波現象,流れや渦の発生など,水理学的特性の把握も求められる.本研究は,CADMAS-SURFを用いた数値計算によって,代表例としてステップの高さが0.2mと1.4mの場合の波の遡上高及び反射率の特性を対象に,波の砕波形態,ステップ上での流れや渦の発生など水理学的な特性との関連を明らかにしている.</p>
著者
仲座 栄三 田中 聡 本屋敷 涼 宮里 信寿 福森 匡泰 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_79-I_84, 2019
被引用文献数
1

<p> Galvin(1968)は,水理実験によって一様斜面上の砕波形態がspilling,plunging,collapsing,surgingの4つに大別されることを示した.Battjes(1974)は,それらの砕波形態や砕波帯内の諸物理現象がIribarren(1949)の示したパラメータで系統的に整理できることを示し,そのパラメータをsurf similarityと呼んだ.本論は,CADMAS-SURFによる数値計算結果によって,波の砕波形態が進行波の軌道流速と戻り流れとの相対的強弱によって決定されていることを示した上で,新たにresonance mode breakerの存在を位置付けている.また,砕波形態と先行波が派生させる戻り流れとの関連を概説した上で,砕波形態が砕波帯内の波の遡上や反射など諸水理現象に及ぼす影響及び,サーファーが砕ける波をサーフィンできる仕組みを定量的に明らかにしている.</p>
著者
本屋敷 涼 仲座 栄三 宮里 信寿 福森 匡泰 田中 聡 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_769-I_774, 2019
被引用文献数
1

<p> CADMAS-SURFを用いた数値計算によって,高さが1.0m前後の高いステップ高を有する階段式護岸に対する波の遡上及び反射率について明らかにしている.従来型の場合,ステップ高が0.2m~0.3mとなっており,傾斜勾配は1:3程度の場合が多い.この場合の波の遡上高は,滑面斜面に対する場合の1割~2割ほど低めとなることが知られている.しかし,ステップ高がさらに高くなった場合についてはあまり研究が行われていない.本研究は,ステップ高を0.2,0.6,1.0,1.4mと順次高めた場合について,波の遡上及び反射の特性を明らかにしている.波の遡上高及び反射率はsurf similarity parameterによって統一的に整理され,ステップ高を高めることでそれらは総じて低減されること及び緩勾配側で反射率の増加があること,ステップ高を高めることで海岸を占有する面積を小さくすることなどが可能となることが示されている.</p>
著者
福森 匡泰 仲座 栄三 田中 聡 宮里 信寿 本屋敷 涼 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_751-I_756, 2019
被引用文献数
1

<p> 直立護岸は,波を反射させ効率的に越波量を低減させる効果を有する.しかし,砕波した波による護岸衝突時の水塊の飛び出しや飛沫の発生などの問題を有する.また,海岸線の利用という面では,利便性の低下や圧迫感を与えるなどの問題点を有する場合がある.それらの改善策として,直立護岸前面に消波工を設置し,護岸天端高を低減させる場合がある.本研究では,直立護岸前面に独自に開発した消波ブロックを設置する消波工付直立護岸及び遊歩道としてのテラス部を設置するテラス式護岸の提案を行い,それらの護岸に対する越波特性を水理実験及びCADMAS-SURFを用いた数値計算で検討している.検討結果は,消波護岸やテラス式護岸では波の乗り上げ効果により越波量が増えることを示している.しかしながら,海岸線利用という面からは,適宜選択可能な策となっており,実務設計において有用性を与える.</p>
著者
田中 聡 仲座 栄三 SCHAAB Carolyn 福森 匡泰 宮里 信寿 本屋敷 涼
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_1033-I_1038, 2018
被引用文献数
2

合田は,ヨーロッパ諸国が中心として進めたCLASHデータに基づいて,自らが提案した護岸上越波流量推定図表に代わる経験式を提案し,その成果が今後の海岸保全施設の設計・計画に役立つことを期待すると述べている.しかしながら,合田の与えた越波量算定式による推定値と実験値や現地観測値との比較はかなりのばらつきを見せており,現場技術者はその活用に躊躇している.合田の与えた経験式が実際に活かされるためには,現設計法との比較が必須である.本研究は,合田の与えた経験式による推定値と合田の越波流量推定図表との比較を行い,経験式の修正を行っている.さらに,合田の越波流量推定図表との隔たりの要因を,CADMAS-SURFによる数値計算値との比較で明らかにしている.