著者
山内 健治 仲座 栄三
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

沖縄県下における台風・暴風・雨・干ばつなど、主に気象環境を、民俗レベルで、人々が観察し、予兆してきたかの民俗知識のデータベース化を意図した研究の一環である。同県の市町村史・誌、字史・誌に記録された気象に関する民俗知識・予兆伝承をリストアップしデータベース化した。また、気象予兆知識が実際に機能しているか、村落社会の中で語られているのかを確認するためにインテンシブな民俗調査を実施した。
著者
入部 綱清 仲座 栄三
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.46-50, 2010 (Released:2010-11-09)
参考文献数
7
被引用文献数
7 7

A highly precise numerical calculation method of the gradient as a differential operator in a computational method with the MPS has been proposed in this study. The method is not dependent on the particle arrangement. Gradient calculations of a linear and nonlinear function have been introduced in the proposed method to verify the numerical accuracy. The results show high accuracy on the boundary in regular grid arrangement case but on both the boundary and inside in random arrangement case. High accuracy and computational stability are also obtained when applied to the calculations of the hydrostatic pressure and free surface of water.
著者
仲座 栄三 入部 綱清 徳久 氏琉 宮里 直扇 稲垣 賢人 SAVOU Rusila
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_515-I_520, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
13
被引用文献数
1

東北大震災の後,日本列島各地において,過去数千年間にも遡って大規模津波の発生やその実態を明らかにすることが津波防災上の重要な課題となっている.琉球諸島における大規模津波としては,約240年前に発生したとされる明和津波が有名である.しかし,これまでの古津波に関する研究成果からは,明和津波と同規模かそれ以上の大きさと推定される大津波が過去に数回発生した可能性が高いと推定されている.本研究は,ボーリングや手堀による調査,そして考古学的発掘調査結果などから,過去に発生した大津波の発生年とその実態を明らかにしている.その結果は,これまでの研究成果で過去数回発生したとされる明和津波以前の津波痕跡やその発生可能性を示す事実が見出されないことを示し,明和津波が過去唯一で最大の津波である可能性を示唆している.
著者
仲座 栄三 渡久山 諒 稲垣 賢人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_193-I_198, 2015 (Released:2015-11-10)
参考文献数
11

南西諸島に点在する巨大な津波石の特徴が示された後に,それらの起源が推定されている.結果は,過去数千年間に大津波が7回来襲したとする従来の定説を否定し,明和津波が唯一で巨大な津波であったことを示唆している.こうした議論内容は,これまでに仲座らが発掘調査などから指摘している明和津波最大説と軌を一つにしている.実験により,こうした巨大津波石の発生メカニズムが調べられ,津波石への衝撃波圧の発生,津波石の水没と移動との関連が議論されている.巨大津波の流体力や最大遡上高を推定する上で,本研究成果は示唆に富む内容となっている.
著者
田中 聡 仲座 栄三 福森 匡泰 宮里 信寿 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.40-54, 2021
被引用文献数
2

<p> 水平床上に設置した直立護岸の越波流量特性が,規則波を対象として,CADMAS-SURFを用いた数値計算及び大型水理実験により明らかにされている.一様斜面上の護岸特性を明らかにする上でもそのベースとして水平床上の護岸越波特性の把握が重要となる.吉川らは水平床上の護岸越波流量の算定に定常流を対象とした堰の公式を導入し,1波当たりの越波流量算定式を与えた.これを基準として合田は,不規則波を対象として護岸上の越波流量算定図表を提示している.被災時の状況把握には,被災をもたらした1波当たりの最大越波流量の推定が求められる場合も多々あることから,規則波を用いた現象理解は重要となる.本論は,無次元越波流量が相対天端高によって系統的に整理できることを示した上で,反射率と越波流量とを同時生起現象として説明している.</p>
著者
宮里 信寿 仲座 栄三 田中 聡 福森 匡泰 Carolyn SHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_763-I_768, 2020
被引用文献数
1

<p> 人工リーフの多くは,その内部を捨て石などで満たされている場合が多く,波や流れに対してほぼ不透過として作用している.そのため,その規模の大きさなども相まって潮流や沿岸流に及ぼす影響も大きいことが指摘されている.したがって,人工リーフの波の減勢効果を保持した上で,内部構造に流水機能を持たせて潮流や沿岸流などに強い影響を及ぼさないような構造を持つ人工リーフの開発が期待される.そうした構造を有する人工リーフの開発はこれまでいくつか行われいるが,未だ十分とは言えない.本論は,著者らが独自に開発している消波ブロックを人工リーフに適用し,1/5スケールの大型水槽実験及びCADMAS-SURFによる数値計算によって,その消波特性,反射率や水位上昇量特性を明らかにしている.</p>
著者
本屋敷 涼 仲座 栄三 宮里 信寿 福森 匡泰 田中 聡 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.20-37, 2020

<p> 階段式護岸のステップ高は通常0.2~0.3m程度に設定されている.しかしながら,こうした緩勾配階段式護岸の勾配は人の歩行を考えて1/2~1/3程度に取られるため,占有面積が大きくなることや波の遡上高が高くなるなどの問題点を抱えている.階段式護岸設置の主な理由は,人の海岸利用や景観への配慮など親水性向上にある.したがって,実務設計者は,波の遡上高や反射率など防災上必要となる数値的な把握のみでなく,実際に護岸上で繰り広げられる砕波現象,流れや渦の発生など,水理学的特性の把握も求められる.本研究は,CADMAS-SURFを用いた数値計算によって,代表例としてステップの高さが0.2mと1.4mの場合の波の遡上高及び反射率の特性を対象に,波の砕波形態,ステップ上での流れや渦の発生など水理学的な特性との関連を明らかにしている.</p>
著者
仲座 栄三 田中 聡 本屋敷 涼 宮里 信寿 福森 匡泰 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_79-I_84, 2019

<p> Galvin(1968)は,水理実験によって一様斜面上の砕波形態がspilling,plunging,collapsing,surgingの4つに大別されることを示した.Battjes(1974)は,それらの砕波形態や砕波帯内の諸物理現象がIribarren(1949)の示したパラメータで系統的に整理できることを示し,そのパラメータをsurf similarityと呼んだ.本論は,CADMAS-SURFによる数値計算結果によって,波の砕波形態が進行波の軌道流速と戻り流れとの相対的強弱によって決定されていることを示した上で,新たにresonance mode breakerの存在を位置付けている.また,砕波形態と先行波が派生させる戻り流れとの関連を概説した上で,砕波形態が砕波帯内の波の遡上や反射など諸水理現象に及ぼす影響及び,サーファーが砕ける波をサーフィンできる仕組みを定量的に明らかにしている.</p>
著者
本屋敷 涼 仲座 栄三 宮里 信寿 福森 匡泰 田中 聡 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_769-I_774, 2019
被引用文献数
1

<p> CADMAS-SURFを用いた数値計算によって,高さが1.0m前後の高いステップ高を有する階段式護岸に対する波の遡上及び反射率について明らかにしている.従来型の場合,ステップ高が0.2m~0.3mとなっており,傾斜勾配は1:3程度の場合が多い.この場合の波の遡上高は,滑面斜面に対する場合の1割~2割ほど低めとなることが知られている.しかし,ステップ高がさらに高くなった場合についてはあまり研究が行われていない.本研究は,ステップ高を0.2,0.6,1.0,1.4mと順次高めた場合について,波の遡上及び反射の特性を明らかにしている.波の遡上高及び反射率はsurf similarity parameterによって統一的に整理され,ステップ高を高めることでそれらは総じて低減されること及び緩勾配側で反射率の増加があること,ステップ高を高めることで海岸を占有する面積を小さくすることなどが可能となることが示されている.</p>
著者
福森 匡泰 仲座 栄三 田中 聡 宮里 信寿 本屋敷 涼 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.I_751-I_756, 2019

<p> 直立護岸は,波を反射させ効率的に越波量を低減させる効果を有する.しかし,砕波した波による護岸衝突時の水塊の飛び出しや飛沫の発生などの問題を有する.また,海岸線の利用という面では,利便性の低下や圧迫感を与えるなどの問題点を有する場合がある.それらの改善策として,直立護岸前面に消波工を設置し,護岸天端高を低減させる場合がある.本研究では,直立護岸前面に独自に開発した消波ブロックを設置する消波工付直立護岸及び遊歩道としてのテラス部を設置するテラス式護岸の提案を行い,それらの護岸に対する越波特性を水理実験及びCADMAS-SURFを用いた数値計算で検討している.検討結果は,消波護岸やテラス式護岸では波の乗り上げ効果により越波量が増えることを示している.しかしながら,海岸線利用という面からは,適宜選択可能な策となっており,実務設計において有用性を与える.</p>
著者
宮里 信寿 仲座 栄三 田中 聡 福森 匡泰 SCHAAB Carolyn
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_1003-I_1008, 2018

波の入・反射波の分離法には,Healy法をはじめとしていくつか存在する.非線形性の強い波に対するそれらの特性ついてはいまだ十分に議論されていない.CADMAS-SURFを用いた数値計算により,Healy法が小さめの反射率を与えること,その補正として合田によって提案された補正値も大幅な改善には至らないことが示されている.不規則波を対象として提案された合田の入・反射分離推定法の規則波への適用性を調べ,波の非線形性が入・反射分離に影響を及ぼすことを明らかにしている.疑似非線形波を対象とした久保田らの方法が検討され,波高値よりもrms値を用いた方が良い結果を与え,さらに離れた2点のデータを用いる方がより良い結果を与えることが明らかにされている.さらに,これらの結果は横山・水口らのデータと比較され,その有用性が示されている.
著者
福森 匡泰 仲座 栄三 田中 聡 宮里 信寿 SCHAAB Carolyn 下地 涼太
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_1009-I_1014, 2018
被引用文献数
3

数値波動水槽CADMAS-SURFは,砕波や越波を伴う波浪場の解析に有用性を示してきている.直立護岸上の越波に関する研究は,古くから行われ,特に合田の越波流量算定図表は実務設計に活用されてきている.最近,合田はEUによるCLASHデータベースを活用し,その見直しを図った.しかし,データのばらつきが大きく,流量係数の詳細な検討が求められている.実験的に護岸上越波時の詳細な流速データを得ることは困難である.本研究は,CADMAS-SURFによる数値計算の有用性を大型実験値との比較で示した上で,直立護岸上越波の流量係数及び流速係数について調べ,それらが護岸上越波の非定常性を示す無次元越波時間によって影響を受けること,さらに波の接近流速の影響を受けることを明らかにしている.
著者
田中 聡 仲座 栄三 SCHAAB Carolyn 福森 匡泰 宮里 信寿 本屋敷 涼
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.I_1033-I_1038, 2018
被引用文献数
2

合田は,ヨーロッパ諸国が中心として進めたCLASHデータに基づいて,自らが提案した護岸上越波流量推定図表に代わる経験式を提案し,その成果が今後の海岸保全施設の設計・計画に役立つことを期待すると述べている.しかしながら,合田の与えた越波量算定式による推定値と実験値や現地観測値との比較はかなりのばらつきを見せており,現場技術者はその活用に躊躇している.合田の与えた経験式が実際に活かされるためには,現設計法との比較が必須である.本研究は,合田の与えた経験式による推定値と合田の越波流量推定図表との比較を行い,経験式の修正を行っている.さらに,合田の越波流量推定図表との隔たりの要因を,CADMAS-SURFによる数値計算値との比較で明らかにしている.
著者
Mostafizur RAHMAN 仲座 栄三 稲垣 賢人 田中 聡 Carolyn SCHAAB
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.62-70, 2016 (Released:2016-10-20)
参考文献数
13
被引用文献数
2

宮城県の貞山運河が東日本大震災の際の巨大津波に対して幾分かの津波減勢作用を見せたことは,当時の被災時のビデオ解析や災害後の被害調査結果などから明らかにされている.いま貞山運河はその地域の復興のシンボルとして,その保全や新たな防災活用が注目されている.本研究は,水理実験により,運河の持つ津波防災効果を解明することを目的としている.運河の津波減勢作用は,直立護岸の場合と比較され,浸水深の低減,津波到達時間の遅延,流速の減勢,比エネルギーの低減に関して,護岸の持つ減勢作用と同程度かそれ以上の効果を持つことが示されている.MPS法の妥当性を実験値との比較で示し,その応用として運河の両岸に盛土部を設置した場合の効果が議論されている.