著者
本山 智祥 首藤 晃一 奥村 康行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.622-633, 2005-03-01
被引用文献数
1

ユビキタスサービスの提供に向け, ハンドオーバ機能を有しかつ数十Mbit/sの広帯域サービスを提供可能にするシステムの実現技術が課題となっている.Mobile IPをベースにした方式など種々の取組みが行われているが, 瞬断時間性能やシステムコスト等の問題があり, まだ本命となる方式は明らかになっていない.我々は, Mobile IPをコアネットワークとし, その足回りとして, スヌーピングルータ(SR)と市販無線LAN装置を組み合わせたSRモバイルシステムを提案している.標準化が進んでいるMobile IPと, 低価格・広帯域化が進んでいる無線LANを, SRを介し連携させることにより安価でスムースハンドオーバ可能な広帯域モバイルサービスを実現することを目指すものである.本論文では, SRモバイルシステムの構成とハンドオーバ処理のための主要構成機能の設計について述べるとともに, 試作装置によるシステム実験結果を報告する.その結果, レイヤ3以上の制御のみで約200msの瞬断時間でハンドオーバが可能であることを明らかにするとともに, いっそうの短縮を目的とした瞬断時間の発生要因について考察する.