著者
野津 厚 室野 剛隆 本山 紘希 本田 利器
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.I_448-I_458, 2016 (Released:2016-05-20)
参考文献数
28
被引用文献数
3 4

危機耐性に関する今後の議論の活性化に資する目的で,鉄道・港湾分野における設計指針の動向を概観するとともに,東日本大震災前後を問わず,危機耐性への配慮と見なすことのできる事例をとりあげ整理した.鉄道の分野では,車両逸脱防止装置,自重補償機構などのdeviceの開発・改良が進められている.一方,港湾の分野では,津波に対する「粘り強い構造」の開発が重要な課題となっている.危機耐性を考慮した設計においては,狭義の設計における想定を越える外力が作用した場合の構造物・システムの応答に対する深い理解が重要であると考えられる.また,鉄道分野・港湾分野に共通する今後の課題として,耐震の観点からの路線計画や港湾計画の重要性が挙げられる.