著者
諸見里 善一 澤岻 哲也 田場 聡 安谷屋 信一 本村 恵二
出版者
Japanese Society for Tropical Agriculture
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.34-41, 2003-03-01 (Released:2010-03-19)
参考文献数
32

各葉齢のマンゴー葉から希釈平板法により微生物を分離し, 生育過程における葉面微生物相の変遷を調べた.また, マンゴーハウス内気中の微生物相も調査し, 葉圏と気中の微生物相の比較・検討を行った.その結果, 気中および各齢葉面の細菌相では, 色素生成細菌が多く, 特に黄色陰性球菌 (Y, N, C) と白色陰性球菌 (W, N, C) の優占が認められた.グラム陰性菌と陽性菌の割合に着目すると, 気中では両菌の割合がほぼ同じであったが, 生葉上では全体的にグラム陰性菌がまた落葉上では陽性菌が優占した.一方糸状菌相では, 気中から多種の糸状菌が分離され, 複雑な菌相を示したのに対し葉面では菌相が単純化した.気中と各齢葉面のすべてで認められた菌はCladospoyium属とPenicillium属の菌のみであった.これらの葉面から分離した細菌および糸状菌であるマンゴー炭疽病菌をPDA培地上で対峙させ拮抗性を検討した.その結果, 細菌には強い拮抗性を示すものは少なかった.それに対し, 糸状菌ではPenicillium属菌は高い拮抗性を示すものが多く, とくに, P.citrinumとP.expansumの2種は最も強い拮抗性を有した.これらの菌の培養ろ液も炭疽病菌に対した高い抗菌性を有することから, 拮抗機作は抗菌物質によるものと考えられる.