著者
川原 由佳里 守田 美奈子 田中 孝美 奥田 清子 本江 朝美 田中 晶子 五味 己寿枝
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.46-55, 2009-06-05 (Released:2016-08-25)
参考文献数
13
被引用文献数
1

本研究の目的は, ①触れるケアをめぐる看護師の経験, ②臨床のなかでの触れるケアの位置づけ, そしてアロマセラピストの語りとの比較を通じて③看護における触れるケアの特徴を明らかにすることである. 看護師 13 名とアロマセラピスト 4 名に面接を行い, 参加者の語りを身体論的な観点から分析した. 結果, 看護師は生活援助やコミュニケーション等のさまざまな場面で, 直観的に相手のニーズを把握し, 即応的に触れるケアを行っていた. 触れている最中, 看護師は自らの手に感じられる相手の状態に集中し, 相手の心身の変化を感じとっていた. 看護師たちは触れるケアの効果を確信をもって語り, そうしたケアに看護職としての喜びを見出していたが, 治療中心, 効率性優先の臨床では, 触れるケアは特別な価値をもつものとは認識されず, その体験を誰かと共有することも少なかった. 看護師自身にも触れるケアの価値そのものが認めづらい現状が明らかになった.
著者
本江 朝美 金井 和子 土屋 尚義
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.1_61-1_68, 1996-04-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
12

本研究は,睡眠障害を把握し対応を考察するために,セルフケア可能な23例を対象とし,起床前後の心電図変化と睡眠に関するアンケート調査結果との関連を検討した。その結果,以下の知見を得た。① 不眠感,不満感は,52.2%で認められた。不眠感を訴える人は,就床時および中途覚醒時のねつき時間が長く,早朝覚醒後起床に至るまでの時間が長い傾向があった。不満感を訴える人は,むしろ不快症状を有し,それらは夢を伴う場合が多い傾向があった。② 起床前後の心拍数の変動は,起床前2時間から1時間では夜間睡眠安定時の平均心拍数より3.63±3.54bpmの増加がみられ,その後起床30分前から徐々に増加しはじめ起床後10分でピークに達した。これらの心拍数の変動は,不満感の有無では差は認められなかったが,不眠感の有無で比較すると,不眠感がない人は起床30分前から徐々に心拍数が増加するのに対し,ある人は起床10分前になって急激に心拍数が増加した。また起床に至るまで30分以上目覚めている人は,起床前90~70分で心拍数が増加しており,6時以降に起床した人は起床5分前から急激な心拍数が増加した。③ 起床前後の不整脈の出現については,不眠感不満感との関連を認めなかった。