著者
甲斐 憲次 浦 健一 河村 武 朴(小野) 恵淑
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.417-427, 1995-07-31
参考文献数
13
被引用文献数
18

本研究では,東京環状八号線道路付近の上空に主として夏季に現れる列状の積雲(環八雲)の発生原因を明らかにするために,出現日の気温・風向・風速・天気図について事例解析を行った.その結果,環八雲は,環状八号線沿いにおいて,夏季の日中に風系の異なる海風の収束によって上昇気流が生じることとヒートアイランド循環によって対流活動が活発になることによって発生する雲であると推定される.都市気候学的視点からみると,環八雲は東京のヒートアイランド循環と東京湾・相模湾の海陸風循環の相互作用として説明することができる.
著者
朴(小野) 恵淑
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
Geographical review of Japan, Series B (ISSN:02896001)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.57-65, 1992-06-30 (Released:2008-12-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

テキサス州南東部のヒューストン大学海岸センター (UHCC) 周辺におはる降水,地表水と浅層地下水中の酸素同位体比 (δ18O)の変動に関する研究を行った。 大気環境に起因する同位体比の急激な変動が1985年1月以来収集した降水に現われている。一1985年1月から1989年12月までの降水の酸素同位体比の荷重平均は約4.48‰である。降水の酸素同位体比の変動は非常に大きい。特に, 1989年6月下旬(熱帯低気圧“All-ison”) と8月上旬(台風“Chantal”)の多量の降水 は非常に低い酸素同位体比を示し,その値は各々-9.5‰, -13.6‰であった。 地下水の酸素同位体比を調べるために1989年1月以来モニターされた。地下水の酸素同位体比の荷重平均は約-4.0‰である。降水の影響は地下水に現われなかった。 地下水とは対照的に,地表水の酸素同位体比は大きく変動する。これはおそらく地表水は各々の多量の降水の後に降水一流出を受けるためと思われるが,一方地下水は長期間に蓄積された数多い降水が含まれているからかあるいは,新しい降水がまだ浅いシルト粘土層に達していないためと思われる。