著者
杉山 実加
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.28, pp.14-19, 2018-01-01 (Released:2019-07-26)
参考文献数
23

これまでの研究において,保育者養成段階の「保育・教育課程論」で使用されているテキストにおいて,計画の連続性への意識がほとんど見られないことなどが指摘されてきた.2018年4月には,新たな幼稚園教育要領・保育所保育指針が施行され,保育者には「カリキュラム・マネジメント」が求められていく中で,養成段階においても,教育課程や指導計画について十分な知識や技術を身に着けることが求められる.そこで,本論文では,2015年から2017年の間に出版されたテキストの記載内容を分析し,編成の目的や意義,各指導計画の連続性に即した作成方法について,どのように解説が行われているのかを検討した.結果,計画の必要性において,保育者間の連携や省察の手がかりとなる記録という部分をきちんと明記していた書籍は一部であること,長期的計画と短期的計画の関連性については全てのテキストで解説が行われていたが,その実際について,資料をもとに具体的に解説したテキストは少なく,解説されている場合も特定の記載内容のみを扱っている場合が多いことを明らかにした.