著者
雨谷 敬史 大浦 健 杉山 智彦 房家 正博 松下 秀鶴
出版者
Society of Indoor Environment, Japan
雑誌
室内環境学会誌 (ISSN:21864314)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.35-43, 2000
被引用文献数
4

1999年8月に, 富士市の一般家庭の室内外のアルデヒド濃度調査を行った。サンプリングはSep-Pak XPoSureを用いたアクティブサンプリングにより行った。得られたサンプルはジクロロメタンによる抽出, アセトニトリルへの溶媒転換, HPLCを用いた分離分析法によりアルデヒド・ケトンの多成分同時分析をおこなった。本法は, 環境大気や室内空気中のホルムアルデヒド, アセトアルデヒドなど11種類のアルデヒド・ケトンを検出・定量するのに有効であることを認めた。ホルムアルデヒドをはじめとする調査対象アルデヒド・ケトンは, すべて, 屋外より室内の濃度の方が高かった。ホルムアルデヒドは新築住宅内で濃度が高く, ホルムアルデヒドなど9種のアルデヒド濃度は, じゅうたんやフローリングの部屋に比べて畳敷きの部屋で濃度が低かった。厚生省による室内環境中のホルムアルデヒド濃度指針値100μg/m<SUP>3</SUP>(30分間)を超えた家庭は2家庭(全体の10%)であった。また, 室内の10種のアルデヒド濃度間には有意な相関が見られた。
著者
堀井 俊宏 ARMAH George KRUNGKRAI Je BZIK David INSELBURG Jo 田井 久美子 三田村 俊秀 森松 克実 GEORGE Armah JERAPAN Krungkrai DAVID Bzik JOSEPH Inselburg 杉山 智彦 JERAPAN Krun BZIK David J ARMAH Geroge INSELBURG J
出版者
大阪大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

ハマダラカによって媒介されるマラリアは年間2億7000万人が感染し200万人が死亡するという最も大きな被害を人類に及ぼしている原虫感染症である。クロロキン、DDTなどの特効薬や殺虫剤により一時は撲滅が可能かに見えたマラリアは、薬剤耐性マラリア原虫株や殺虫剤に耐性の媒介蚊の出現によりその治療と制圧は現在困難な状況に陥っている。一方、マラリア原虫の細胞より十分な量の蛋白質を精製する事が極めて難しいため、マラリア原虫に関する生化学的な解析にも乏しい。さらに、マラリア原虫のcDNAは大腸菌において一般にうまく発現せず、レコンビナント蛋白質として調製することも容易ではないことも解析を遅らせている。マラリアワクチンの開発は人類の夢の一つであるが、マラリア感染に対する宿主(ヒト)の免疫応答が理解されていないことに加えて、マラリア原虫はその主要抗原のアミノ酸配列を高頻度で変換するための機構を複数有していると考えられる。マラリアワクチンの開発をめざす本研究課題においては、まず、ワクチン候補抗原蛋白質を安定して供給できるシステムの構築を行なった。抗原遺伝子は以下で述べるSERAであるが、本抗原遺伝子はマラリヤ原虫株のなかでもよく保存されていると考えられているが、このSERA遺伝子の抗原変異の頻度について解析をすすめた。(1)熱帯熱マラリア原虫の培養細胞に対して増殖阻害的に働くマウスのモノクローナル抗体を用いて単離したSERA(Serine Repeat Antigen,113kD)は、赤血球期マラリアのトロフォゾイト、シャイゾント期に大量に発現される蛋白質であり、感染赤血球が壊裂する直前に、47kD、50kD、18kDの三つの断片となる。このSERA抗原はマラリアワクチンの候補抗原として重要と考えられているが、一方、SERA遺伝子のcDNAを大腸菌の発現ベクターに組み込んでも、レコンビナント蛋白質の発現は容易ではなかった。我々は、極端にAT含量の高いマラリア遺伝子とGC含量が高い大腸菌の間におけるコドン使用頻度の違いがレコンビナント蛋白質の発現量を低下させていると考え、熱帯熱マラリアのコドン使用頻度を大腸菌型に変えた、これら三つの断片をコードする人工合成遺伝子を構築し、大腸菌において3種類のSERA蛋白質を大量に発現させた。精製した後、マウス及びラットを免疫し、得られた抗血清を用いてマ