著者
杉浦 孝蔵
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.356-359, 1959
被引用文献数
1

1)樹種によつて,さし木の発根と萠芽の状態に著しい差異はあるが,概して広葉樹のさし木には春さしが適当な季節である5)6)。<br> 樹種別では,各季節を通して発根率の高いものは,コリヤナギ,ヤマブキ,ヤエヤマブキで萠芽が早く,萠芽数,発根数も比較的多く,発根の伸びも大きい。アヂサイ,レンギヨウは各季節を通してカルスを形成する。ツゲ,キソケイの春ざしはすべてカルスカラ発根している。<br> 3)トウカエデ,カリン,ギンモクセイ,ヤマモミジ,エソジユ,シラカンバ,イタヤカエデ,イイギリ,ユリノキ,マテバシイ,オオシマザクラ,モミヂバフウ,シイノキは各季節を通して発根,萠芽共に見られなかった。このうちカリン,ギンモクセイ,ヤマモミヂ,エソジユ,イタヤカエデ,イイギリ,ユリノキ,シイノキは地中さしつけ部が腐敗して枯死するものが多い。さし穂の腐敗は夏さしに最も多い。
著者
杉浦 孝蔵
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.106-109, 1961

1)本実験に用いた広葉樹については,樹種によつてさし木の発根,萌芽状態に著しい違いはあるが,概して広葉樹のさし木には春さしが適する5)6)7)9)。<br> 2)各季節を通して発根した樹種は,ノイバラ,コゴメウツギ,ウツギ,アオキ,ガママズミの5種である。このうちアオキ以外は一般に発根,崩芽の数量はほかの樹種に比較して優れている。<br> 3)発根の認められなかつた樹種のうち,コウヤボウキ,ヤマツツジ,ニガイチゴ,キブシ,アブラチヤン,ウコンバナ,ヤマコウバシの7種はそれぞれさし穂に着葉するものがあつた。
著者
内山 寛 杉浦 孝蔵
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.27-32, 1998-03-20 (Released:2017-08-28)
参考文献数
15

わが国におけるシイタケは特用林産物のなかでも,生産量,生産額ともに多く,山村地域振興において重要な役割を果たしている。しかし,近年中小規模原木シイタケ生産者の経営環境は厳しく,優良原木の不足,生産コストの上昇など,厳しさを増している。このような状況の中で,首都圏のシイタケ産地として市場から期待されている福島県におけるシイタケ生産者の動向について調査を行い,既報の神奈川県の生産状況を踏まえて検討したのでその結果を報告する。福島県におけるシイタケ生産者の50.8%が,現在の経営状況を「普通」以上と認識する一方,シイタケ生産の継続については,シイタケの生産を「やめる」が神奈川県のシイタケ生産者より少なく,山村の地域経済におけるシイタケ生産の重要性が示された。また,今後のシイタケ産業の伸びについては,「伸びない」と認識する生産者が68.0%で神奈川県のシイタケ生産者と同様に厳しい認識を持っていた。今後,福島県においても他地域の生産者の状況を踏まえてシイタケ生産に関する問題の解決を図り,各産地間の協力体制を確立し,シイタケ産業の発展を図って行くことが重要であると考える。