- 著者
-
内山 寛
杉浦 孝蔵
- 出版者
- 林業経済学会
- 雑誌
- 林業経済研究 (ISSN:02851598)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.1, pp.27-32, 1998-03-20 (Released:2017-08-28)
- 参考文献数
- 15
わが国におけるシイタケは特用林産物のなかでも,生産量,生産額ともに多く,山村地域振興において重要な役割を果たしている。しかし,近年中小規模原木シイタケ生産者の経営環境は厳しく,優良原木の不足,生産コストの上昇など,厳しさを増している。このような状況の中で,首都圏のシイタケ産地として市場から期待されている福島県におけるシイタケ生産者の動向について調査を行い,既報の神奈川県の生産状況を踏まえて検討したのでその結果を報告する。福島県におけるシイタケ生産者の50.8%が,現在の経営状況を「普通」以上と認識する一方,シイタケ生産の継続については,シイタケの生産を「やめる」が神奈川県のシイタケ生産者より少なく,山村の地域経済におけるシイタケ生産の重要性が示された。また,今後のシイタケ産業の伸びについては,「伸びない」と認識する生産者が68.0%で神奈川県のシイタケ生産者と同様に厳しい認識を持っていた。今後,福島県においても他地域の生産者の状況を踏まえてシイタケ生産に関する問題の解決を図り,各産地間の協力体制を確立し,シイタケ産業の発展を図って行くことが重要であると考える。