著者
杉浦 弘和
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.279-285, 1991 (Released:2009-06-05)
参考文献数
17
被引用文献数
2

目的:潰瘍性大腸炎(以下UCと略す.)におけるロイコトリエンB4(以下LTB4と略す.)の関与を検討するために,大腸内視鏡検査時に採取した組織を利用してLTB4量を測定した.方法:採取した組織をカルシウムイオノフォアで刺激したのち,Bond Elutによる精製方法と高感度のRIAによる定量方法を組み合わせることにより,LTB4量をUC患者および正常者で測定した.成績:UCの検討項目は本症の病態を示す臨床症状・X線的・内視鏡的・臨床データ・病理組織的な分類にわけ比較検討したが,LTB4はいずれの病態分類の程度とも相関して変動していた.結果:著者のLTB4測定法は微量な組織を用いても測定可能であり,UCの臨床症状および内視鏡検査などの画像診断との対比が可能となり,従来報告されている測定方法よりも有用であると思われた.さらに本法で検討すると,UCの病態にLTB4が関与している可能性が示唆された.
著者
木幡 義彰 内山 和郎 佐々木 敬典 土屋 和彦 須藤 一郎 杉浦 弘和 白鳥 泰正 窪田 良彦 宮岡 正明 斉藤 利彦
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:03899403)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.263-266, 1993-06-18 (Released:2015-07-15)
参考文献数
16

症例1は35歳男性(国籍 : カメルーン)。1992年1月,粘血便を主訴に受診。便潜血反応陽性を認めたため,大腸内視鏡検査を施行し,上行結腸下部の粘膜に刺入した白色調の寄生虫を認めた。虫体は鉗子にて摘出し,検索の結果,鞭虫の雌成虫であった。虫体摘出後も症状持続し,メベンダゾール投与にて軽快した。症例2は29歳男性。1991年1月,2年前から持続する左側腹部痛を主訴に来院。大腸X線検査にて横行結腸にポリープを疑ったが,大腸内視鏡検査にて盲腸の粘膜に刺入した寄生虫を8匹認めた。虫体は鉗子にて摘出し,検索の結果,アニサキス幼虫であった。主訴との関連は考えにくく,緩和型大腸アニサキス症と診断した。大腸内視鏡により腸管寄生虫症を確認し摘出した症例はまれであり,本邦報告例とともに若干の考察を加え報告した。