著者
江藤 裕之 岸 利江子 岩崎 朗子 坂本 ちより 頭川 典子 青木 三恵子 久保田 智恵 杉浦 絹子 八尋 道子
出版者
長野県看護大学
雑誌
長野県看護大学紀要 (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.31-39, 2002-03-31
被引用文献数
1

医療職者間の専門用語や隠語には外国語からの借用語,造語が多いことはよく知られる.特に,ドイツ語起源の隠語が使われることが多く,会話内容の秘密保持という点に一役買っている.しかし,頻繁に使われる隠語であっても,中には借用した語の原形をとどめていないものも多く,また,その起源がドイツ語であるとの認識がなされていない語も多く存在する.本稿では,日本における医療職者間で使われるドイツ語隠語研究の第一段階として,いくつかの隠語を取り上げ,それがどのような起源を持ち,またいかなる形で今日の日本の病院内で使われているのかを概観し,医療職者間ドイツ語隠語の特徴を造語法という点からまとめてみた.情報開示が問題になる今日の医療・看護の現場で,第三者には理解不能な語がどのような形で扱われ,また今後どのように扱われるべきなのか.このような問題意識を踏まえ,今後の研究の出発点としたい.
著者
江藤 裕之 岸 利江子 岩崎 朗子 坂本 ちより 頭川 典子 青木 三恵子 久保田 智恵 杉浦 絹子 八尋 道子
出版者
長野県看護大学
雑誌
長野県看護大学紀要 (ISSN:13451782)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.31-39, 2002-03-31

医療職者間の専門用語や隠語には外国語からの借用語,造語が多いことはよく知られる.特に,ドイツ語起源の隠語が使われることが多く,会話内容の秘密保持という点に一役買っている.しかし,頻繁に使われる隠語であっても,中には借用した語の原形をとどめていないものも多く,また,その起源がドイツ語であるとの認識がなされていない語も多く存在する.本稿では,日本における医療職者間で使われるドイツ語隠語研究の第一段階として,いくつかの隠語を取り上げ,それがどのような起源を持ち,またいかなる形で今日の日本の病院内で使われているの
著者
石川 康代 杉浦 絹子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.237-248, 2011-07

本研究は,男性のもつ月経観と月経の知識を測定する尺度を開発し,これを用いて男性のもつ月経観と月経に関する知識の現状を明らかにすること,ならびに男性に向けた月経に関する教育や情報提供のあり方について示唆を得ることを目的とした。月経観尺度,月経の知識尺度,月経に関する情報の入手方法,月経に関する情報提供に関する意見・考えで構成した無記名自記式質問紙による調査を行い,男子大学生および既婚男性計170名の回答を分析した結果,以下のことが明らかとなった。月経観尺度および月経の知識尺度は,内的整合性,弁別性いずれもおおむね良好な尺度であった。月経観尺度は第I因子「面倒」,第II因子「我慢」,第III因子「羞恥心」,第IV因子「誇り」で構成され,累積寄与率は51.96%であった。1項目あたりの平均得点は,「我慢」5.64±1.01,「面倒」4.52±1.40,「誇り」4.16±1.13,「羞恥心」3.18±1.08の順に高かった。月経の知識尺度は第I因子「気分の変化」,第II因子「留意」,第III因子「活動」で構成され,累積寄与率は54.03%であった。1項目あたりの平均得点は,「留意」5.75±1.07,「活動」5.21±1.06,「気分の変化」3.97±1.13の順に高かった。男子大学生群と既婚男性群間には,月経観尺度および月経の知識尺度の尺度総得点および下位尺度得点すべてにおいて有意差はみられなかった。また,対象の背景変数と両尺度の総得点および下位尺度得点にも関連はみられなかった。尺度のいずれかの項目に「わからない」と回答した者は計68.8%に及んだ。月経に関する情報源は,対象の大半が小中学校時,保健体育の教師からと回答しており,また月経について妻と話すことがある既婚男性では25.0%と少なかった。男性が月経について知っていたらよいと思うことについての回答は,多いものから「月経時に起こりやすい症状や心身の変化」(64.1%),「月経時のタブー」(62.4%),「月経時の過ごし方」(58.8%)の順であり,これらは「わからない」の回答が多かった項目と相応していた。以上より,男性が身近な女性の月経時の不調などを理解し配慮ができるよう,学校教育の場やマスメディアなどを通じて,より具体的かつ正確な月経に関する情報を提供していく必要性が示唆された。
著者
福島 千恵子 杉浦 絹子 Fukushma Chieko Sugiura Kinuko
出版者
三重大学医学部看護学科
雑誌
三重看護学誌 (ISSN:13446983)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.11-17, 2012-03-15
被引用文献数
1

非妊時の自己管理が良好ではなかった1型糖尿病をもつ女性の妊娠前から妊娠中期にかけての糖尿病自己管理に関する経験と思いを明らかにし,求められる援助について考察することを目的として,3名の女性を研究参加者として半構成的面接調査を行った.得られたデータを修正版グラウンデッドアプローチを用いて質的帰納的に分析した結果(カテゴリーは【 】,概念は〈 〉で示す),1型糖尿病をもつ女性たちにとって糖尿病治療は,妊娠する前から生命維持のために必須であり,妊娠する前には,糖尿病の自己管理は〈適当に糖尿病自己管理をおこなっていた〉状態であった.血糖コントロールが悪い状態での妊娠のため,〈予期せぬ妊娠への戸惑い〉が生じ,指定された期限までに〈妊娠継続の決断〉を迫られ,糖尿病合併妊娠の管理を専門とする医師のいる病院へ移ることを余儀なくされる.妊娠による代謝の変化や妊娠維持と,より正常な児を得るために,今までとは異なる厳格な管理が必要となり,〈これまでの感覚に基づいた自己管理方法が通用しない〉と感じ,大きな戸惑いを抱く.妊娠中期には,インスリン抵抗性の増大に伴うインスリン投与量の増加,糖尿病合併症・産科的合併症の出現や悪化により〈妊娠経過への不安〉や〈子どもへの影響に関する不安〉を強く抱く.〈自己管理できないではすまされない〉と実感する.しかし,〈子どもが胎内に存在する感覚〉をもつとともに【糖尿病をもっているがゆえにハイリスク妊婦である】と認識し,〈元気な子どもをもつことへのこだわり〉を持つ.そして〈子どものために頑張らないといけない〉と強く思い,家族や同じ疾患を持つ仲間の存在に支えられ,前向きに治療に取り組んでいく.以上より,1型糖尿病をもつ女性への援助においては,妊娠前は計画妊娠への援助,妊娠初期は妊娠継続するか否かの自己決定を支える援助と妊娠中の自己管理の受け入れへの援助,妊娠中期は妊娠期特有の管理への戸惑いと無力感及び不安の表出への援助であると考えられた.In this study, we conducted research for the purpose of clarifying the experiences and emotion from the pre-pregnancy to puerperal period of women with type 1 diabetes mellitus in terms of self-controlling of diabetes, and considering what kind of care is necessary. This paper is to clarify the experiences and emotion of women with type 1 diabetes mellitus in pre-pregnancy to the second trimester. Semi-structured interviews were conducted with three women with type 1 diabetes mellitus. The data obtained from the interviews were transcribed and then were analyzed qualitatively and inductively based on the Modified Grounded Theory Approach. 【 】shows category and 〈 〉 shows concept. Medical treatment of diabetes prior to pregnancy was necessary for women with type 1 diabetes mellitus in order to maintain their lives. From the viewpoint of self-monitoring of diabetes, therefore, they were in the situation that they barely managed to lead a normal life under diabetic treatment before pregnancy. Since they became pregnant in a condition of poorly-controlled blood glucose, they were 〈puzzled by the unexpected pregnancy〉. Moreover, they were under pressure to 〈decide whether to maintain their pregnancy or not〉 by the designated deadline and forced to move to the hospital with doctors specializing in pregnancy with diabetic complications. So it was necessary for them to conduct severe self-control, which was different than before, party because their pregnancy caused metabolic alteration, and partly because they needed to maintain their pregnancy to have a normal child. As a result, they were completely confused, feeling that 〈the self-control method based on the sense they had prior to pregnancy was not sufficient any longer〉 and 〈I must do self-controlling of diabetes〉. In the second trimester, they were puzzled or strongly concerned about the effects of insulin resistance, diabetic or obestetric complications which enhanced 〈their concern about their pregnancy course〉 and 〈a sence of strong anxiety about the impact of their illness on their children〉. However, they had 〈a sense that they were having a child inside their wombs〉 and also recognized that 【high risk pregnant women due to diabetes】, so that they were determined to have a healthy child. Therefore, they strongly believed that 〈they would have to hang in for their child〉 and had a positive attitude towards their medical treatment, supported by their family or fellow patients with the same illness. What is important for us to think in supporting women with type 1 diabetes mellitus is to help them plan their pregnancy before they become pregnant, determine whether to keep their pregnancy or not and accept self-control conducted during pregnancy in early pregnancy, and express their worries and helpless feeling about pregnancy-related management in mid pregnancy.
著者
伊藤 綾夏 杉浦 絹子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.189-197, 2010-04
被引用文献数
1

本研究では,女子大学生が月経周辺期にどのようなポジティブおよびネガティブな心身の変化を経験しているのか,またそれらの変化と月経に対するイメージとの関連はどうであるのかを明らかにし,月経教育のあり方について考察することを目的に無記名自記式質問紙調査を実施した。看護学を専攻する女子大学2,3年生129名の回答を分析した結果,以下のことが明らかとなった。1.1項目あたりの平均尺度得点の比較では,ポジティブ変化尺度得点はネガティブ変化尺度得点に比べ有意に低かった(p<0.001)。2.ポジティブ変化尺度は,因子分析の結果,「気力因子」と「活動性因子」の2因子で構成されていた。1項目あたりの平均得点の比較では,「活動性因子」が「気力因子」よりも有意に高く(p<0.001),「活動性因子」の項目である「食欲が増す」と「便秘が解消する」は他の項目に比べて高得点であった。3.ネガティブ変化尺度の1項目あたりの平均得点は高いものから「下腹部痛」「腰痛」「いらいら」「疲れやすい」「肌荒れ」「憂うつ」の順であった。4.月経イメージ尺度は,因子分析した結果,「肯定的イメージ因子」と「否定的イメージ因子」の2因子で構成されていた。1項目あたりの平均得点の比較では,「肯定的イメージ因子」が「否定的イメージ因子」よりも有意に高かった(p<0.001)。5.ポジティブ変化尺度得点と肯定的イメージ下位尺度得点間には有意な相関はみられなかったが,ネガティブ変化尺度得点と否定的イメージ下位尺度得点間には有意な強い相関がみられた(p<0.001)。以上より,この年代の女性に月経周辺期におけるポジティブな変化に関する情報を伝え,これらの変化を意識化する働きかけをしていくことの重要性が示唆された。