著者
清末 愛砂 梅澤 彩 松村 歌子 李 妍淑
出版者
室蘭工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-10-21

本研究を通じ、日本との比較対象としたニュージーランド、シンガポール、台湾においては、家族司法政策が民間に責務の一端を担わせる方向に動いていることが明らかとなった。民営化でコスト削減を図りながらも、家族紛争解決関連の支援活動を実施してきた民間団体に依拠することで、子の取決めを中心とする家族紛争問題に瀕している市民が、各種の支援にアクセスしやすい体制がとられてきた。一方、当該研究を通して、民営化が必ずしも当事者支援に結びつかないことも明らかとなった。今後の家族司法政策においては、民間団体の活動に依拠しすぎず、十分な予算を確保した上で適正な形での公的機関の関与が求められているといえよう。
著者
李 妍淑
出版者
北海道大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究では、中国において唯一公認された女性団体である婦女聯合会を素材に、ジェンダー政策推進過程における「婦聯」の役割を戦後台湾の女性政策と比較検討し、中国におけるジェンダー政策にみられる特徴の解明を試みた。中国の「婦聯」は、共産党の指導を前提としている組織として強い政治的性格を持ち、国家のジェンダー政策推進過程においては、党の「別働部隊」としての役割を果たしてきた。また、「婦聯」はジェンダー問題を女性固有の問題として捉え損ねているため性別役割分業を維持し、それが国家の政策とも共鳴することで、結果的に固定化されたジェンダー構造を生み出すことになった。