- 著者
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李 広微
金 明哲
- 出版者
- 計量国語学会
- 雑誌
- 計量国語学 (ISSN:04534611)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.1, pp.19-32, 2019
「国民作家」と呼ばれる夏目漱石の個性的な文体は,多くの読者を魅了し,模作され続けている.水村美苗が漱石の未完の小説『明暗』を模倣して書いた『続明暗』は,その文体模倣の完成度の高さから注目を浴びた.本稿では,計量的アプローチを用いて,水村が文体模倣のためどのような点を工夫していたか,『明暗』と『続明暗』二作品の文体にどのような異同があるかをめぐって,コーパス言語学の観点から分析を展開した.文の長さ,タグ付き形態素,品詞の構成及び文節パターンについて計量分析を行った.その結果,ほかの比較テキストに対照して,『続明暗』は文の長さ,語彙,品詞,構文などに於いて,『明暗』に似ている部分やその度合,残存されている水村の表現特徴などを見つけ出すことができた.