著者
李 鐘順
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.130-134, 1981-05-20

緑豆、あずき、いんげん、コンスターチの澱粉についてゲルの物性を比較検討した結果、次のような知見を得た。1.緑豆澱粉は他の豆澱粉に比べ、ゲルが安定で、保存時間による変化が少ない。2.縁豆澱粉は texturometer curve において2つの peak と幅の広い bend を示し、好ましい texture を呈する。3.コンスターチは bend は広いが hardness が小さく、糊状に近い。4.緑豆澱粉はあずき澱粉よりも好まれ、その濃度は無水物に換算して11%(実際の澱粉では12.3%)が適当である。5.緑豆澱粉では添加物のうち酸の影響が顕著で糊状に近いゲルになるが、天然果汁添加は弾力のある好ましいゲルを形成する。6.間接加熱では hardness が高く、もろいゲルをつくるので、直接加熱が適当と考えられる。
著者
李 鐘順 寺元 芳子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.123-129, 1981-05-20

緑豆澱粉の糊化特性を知るためにアミロース含量や分子量分布の近似した、あずき、いんげんの澱粉、及び一般に利用度の高いコンスターチについて比較検討した結果、次のような知見を得た。1.三つの豆澱粉のなかでは、緑豆澱粉とあずき澱粉が糊化状態がよく似ている。2.いんげんと緑豆澱粉では粒度は、ほぼ似ているが、糊化状態は著しく異なる。3.コンスターチは、粒度は最小であるが粘度はあずき、緑豆につぎいんげんよりは高い。4.膨潤・溶解度は緑豆澱粉が最も高い。5.砂糖の添加は粘度を高くするが加熱初期の膨潤は抑えられ75〜80℃で急激に膨潤する。6.クエン酸は、粘度は高くするが、澱粉粒の崩壊が顕著でブレークダウンが大きい。しかし、天然果汁や緩衝液では、その影響が比較的少ない。