著者
立屋敷 かおる 大亦 みち子 寺元 芳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.359-362, 1983-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
2

1) 煮切り等の加熱操作により, 酒のアルコール度は減少した.アルコール度の高い酒ほど減少率は大きく, 残存量は少なかった.2) 2倍に希釈した酒を加熱した結果, いずれの酒も加熱時間に伴ってアルコール度が減少し, 加熱2分で元の約112に減り, 10分で1度以下となった.この経時変化に, 加熱時の蓋の有無と酒の濃度は影響しなかった.3) 清酒の燗は, 燗の程度によりアルコール度の変化に差があった.ぬる燗 (45℃) ではアルコール度に変化がなく, あつ燗 (60℃) で0.6%, 過度の燗 (70℃) で1.2%減少した.4) 酒を使用する料理10種の結果では, 多くのものが加熱によりアルコール含量の約90%が減少した.加熱後の料理のアルコール含有率は, ほとんどが1%以下だった.
著者
大井 裕子 鶴淵 和子 小林 トミ 穂坂 直弘 寺元 芳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.81-86, 1985-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5

砂糖液の加熱時における火力と最終温度がカラメルソースの色や味とどのような関係にあるかを明らかにするため実験を行い, 次のような知見を得た.1) カラメルソースの濃度は, その仕上がり重量がもとの砂糖重量の1.10~1.15倍がよい.2) 官能検査の結果, 強火では 210~230℃ 加熱のものが色・味ともに評価が高かった.これに該当するのは, 中火では220℃, 弱火では210℃加熱のものであった.3) カラメルの色は弱火で210℃, 中火で220℃, 強火で230℃になると急変しやすく, ばらつきが大きくて再現性に欠ける.4) カラメルソースの色価は 600 前後が適当である.5) カラメルソースの pH は, 加熱温度の上昇とともに低下する.6) 火力は強火よりも弱火のほうが温度が緩慢に上昇し, 低温で着色する.7) カラメルの調製法としては160℃まで強火にし, その後弱火で加熱するのが, 所要時間や調理操作上よいと考えられる.
著者
立屋敷 かおる 大亦 みち子 寺元 芳子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.359-362, 1983

1) 煮切り等の加熱操作により, 酒のアルコール度は減少した.アルコール度の高い酒ほど減少率は大きく, 残存量は少なかった.<BR>2) 2倍に希釈した酒を加熱した結果, いずれの酒も加熱時間に伴ってアルコール度が減少し, 加熱2分で元の約112に減り, 10分で1度以下となった.この経時変化に, 加熱時の蓋の有無と酒の濃度は影響しなかった.<BR>3) 清酒の燗は, 燗の程度によりアルコール度の変化に差があった.ぬる燗 (45℃) ではアルコール度に変化がなく, あつ燗 (60℃) で0.6%, 過度の燗 (70℃) で1.2%減少した.<BR>4) 酒を使用する料理10種の結果では, 多くのものが加熱によりアルコール含量の約90%が減少した.加熱後の料理のアルコール含有率は, ほとんどが1%以下だった.
著者
大井 裕子 鶴淵 和子 小林 トミ 穂坂 直弘 寺元 芳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.81-86, 1985

砂糖液の加熱時における火力と最終温度がカラメルソースの色や味とどのような関係にあるかを明らかにするため実験を行い, 次のような知見を得た.<BR>1) カラメルソースの濃度は, その仕上がり重量がもとの砂糖重量の1.10~1.15倍がよい.<BR>2) 官能検査の結果, 強火では 210~230℃ 加熱のものが色・味ともに評価が高かった.これに該当するのは, 中火では220℃, 弱火では210℃加熱のものであった.<BR>3) カラメルの色は弱火で210℃, 中火で220℃, 強火で230℃になると急変しやすく, ばらつきが大きくて再現性に欠ける.<BR>4) カラメルソースの色価は 600 前後が適当である.<BR>5) カラメルソースの pH は, 加熱温度の上昇とともに低下する.<BR>6) 火力は強火よりも弱火のほうが温度が緩慢に上昇し, 低温で着色する.<BR>7) カラメルの調製法としては160℃まで強火にし, その後弱火で加熱するのが, 所要時間や調理操作上よいと考えられる.
著者
高井 郁子 柳沢 幸江 村田 安代 寺元 芳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.307-314, 1993-04-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
16
被引用文献数
3

鶏肉の水煮における, 加熱開始温度と加熱終了温度の相違が物性, 食味におよぼす影響を明らかにするため, 鶏肉および煮汁の呈味成分の消長, テクスチャー特性について調べた.また官能検査を行い呈味成分, テクスチャーとの関係を考察した.(1) 実験11) 水煮した鶏肉のかたさには, 水から煮ても, 熱湯に入れて煮ても, 加熱開始温度の影響はなかった。2) 本報の実験条件では, 熱湯に入れて煮た方が若干, 肉中, 煮汁中の5'-IMP量が多く, 官能検査の結果も, 熱湯に入れて煮た方が, 肉にうま味があり, 好ましい傾向がみられた.煮汁も熱湯に入れて煮た方が, うま味を多く感じていた.(2) 実験21) 加熱終了温度の違いによる核酸関連物質, 遊離アミノ酸の消長はほとんどみられなかった.しかし, 呈味に関与しているといわれているタウリン, アンセリンは加熱により徐々に煮汁中に溶出した.2) 官能検査の結果, 本報の実験条件では, 加熱終了温度90℃ (23分加熱) の肉がやわらかく, しっとりとして総合的に好ましいという評価を得た.実験1, 2の結果より鶏肉の水煮は, 本実験条件では肉の呈味成分の消長はあまりみられず, 肉のかたさ, パサつきなどの物性面への影響が多いと考えられた.加熱方法としては熱湯に肉を入れ内部温度80~90℃になるまで加熱する方法が望ましいといえる.
著者
柳沢 幸江 田村 厚子 寺元 芳子 赤坂 守人
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.74-84, 1989-03-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
32
被引用文献数
10

様々な咀嚼機能を持った個々の人間にとって,より好ましい食物物性の在り方を探るために,物性と嚼咀の相互関係を捉えてきた。本研究は咀嚼筋活動量による食物分類を作ることを目的に,まずテクスチュロメーターにより測定した食物物性から咀嚼筋活動量を推定する方法を検討した。咀嚼筋活動量は筋電図による咀嚼筋の活動量から求めた。被検者は正常咬合者である成人男女各10名ずつで,咀嚼開始から嚥下開始までの咀嚼筋活動量を左右の閉口筋3筋について計測した。回帰分析を用いて食物物性値と咀嚼筋活動量の対応性を分析し,その結果をもとに咀嚼筋活動量による食物分類を行った。得られた結果を以下に示す。1)3種のテクスチャーパラメーター即ちかたさ・凝集性・ひずみを用いることによって,高い精度で咀嚼筋活動量を推定することができた。2)テクスチャー測定値を用いた推定方法から,食物物性が既知である144種の食物の咀嚼筋活動量を明らかにした。3)食物を咀嚼筋活動量のレベルにより10ランクに分類することができた。また,「物性による食物分類」に咀嚼筋活動量の尺度を加えることができた。
著者
寺元 芳子 塩田 育子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.384-388, 1966-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

1. 完全糊化した澱粉糊は半糊化のものにくらべ、粘弾性、ゲル化速度が大で調理操作可能範囲が狭い。したがって、くずざくらは半糊化の澱粉糊で、あんを包み蒸して完全糊化させる方がよい。2. 半糊化にする方法は全体を半糊化にするよりも一部を完全糊化させ、残りを懸濁液のままで混ぜ合わせる方が調製しやすい。ただし馬鈴薯澱粉糊は流れやすいため、全体を半糊化にする方がよい。3. 単独澱粉では次のような欠点が認められる。くず澱粉…手に付着しやすい。馬鈴薯澱粉…流れやすく成形しにくい。玉蜀黍澱粉…くず澱粉に類似している。4. 単独澱粉の欠点を補うために澱粉を混合して用いることは効果がある。混合割合は、くずと馬鈴薯澱粉、玉蜀黍と馬鈴薯澱粉とも3:1がくずざくらに対しては実用的配合と考えられる。
著者
沼倉 久枝 白木 まさ子 寺元 芳子 大石 みどり
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.150-155, 1981-02-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5

煮物における急速加熱と緩慢加熱のちがいを官能検査および糖, アミノ態窒素の定量などにより検討した. その結果は次のとおりである.1) 急速加熱と緩慢加熱とのちがいは, 煮汁の味においては有意差が認められなかったが, 糖量, アミノ態窒素量の測定では, 緩慢加熱のほうが煮汁への溶出が多かった.2) 緩慢加熱で食品の入れ時を変えた場合, 水から入れるよりも沸騰時に入れるほうが糖, アミノ態窒素の溶出率は大差ないが, 煮汁の色, 泡立ちなどに差がみられ, 官能検査の結果からも沸騰時に食品を入れたほうがあくっぽさが少なかった.3) 食品の味は, 煮汁への溶出の多い緩慢加熱のものが評価が低く, とくにじゃがいもは不評であった.4) 緩慢加熱によってとくに糖が生成されるということは認められなかった.今回は食品を同量ずつ加熱して官能検査の試料としたことと, 緩慢加熱を間接加熱の方法で行ったために, たまねぎの臭いが強く残り, とくに緩慢加熱のほうが好まれなかった. 材料配合をくふうし, 蒸気が自由に揮散できる加熱器具を用いれば, 上記の結果から汁ごと食べるシチューなどでは緩慢加熱のほうが好まれると思われる.ただし, 最初から緩慢に加熱すると酸化酵素の活性化が起こりやすいので, 沸騰までは強火で急速に加熱するか沸騰時に食品を入てから緩慢加熱するほうがよい.
著者
李 鐘順 寺元 芳子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.123-129, 1981-05-20

緑豆澱粉の糊化特性を知るためにアミロース含量や分子量分布の近似した、あずき、いんげんの澱粉、及び一般に利用度の高いコンスターチについて比較検討した結果、次のような知見を得た。1.三つの豆澱粉のなかでは、緑豆澱粉とあずき澱粉が糊化状態がよく似ている。2.いんげんと緑豆澱粉では粒度は、ほぼ似ているが、糊化状態は著しく異なる。3.コンスターチは、粒度は最小であるが粘度はあずき、緑豆につぎいんげんよりは高い。4.膨潤・溶解度は緑豆澱粉が最も高い。5.砂糖の添加は粘度を高くするが加熱初期の膨潤は抑えられ75〜80℃で急激に膨潤する。6.クエン酸は、粘度は高くするが、澱粉粒の崩壊が顕著でブレークダウンが大きい。しかし、天然果汁や緩衝液では、その影響が比較的少ない。