著者
市井 和仁 松井 洋平 村上 和隆 山口 靖 小川 克郎
出版者
The Remote Sensing Society of Japan
雑誌
日本リモートセンシング学会誌 (ISSN:02897911)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.625-636, 2002

これまで大気CO<SUB>2</SUB>濃度の予測等に用いられてきたシンプルモデルは,生物圏における炭素循環素過程の経年変動データが不足していたために,生物圏に関して十分な検証が行われていなかった。本研究では,過去20年程度のAVHRRデータを利用して全球NPPの変動を解析し,一方では炭素一エネルギー循環結合モデルを構築し,両アプローチの相互検証を行った上で信頼性を確認した上で,将来予測を行った。<BR>過去のNPPトレンドに関して,気候フィードバックを考慮したモデルでは,考慮しないモデルに比較して,衛星データの結果により近い結果を示した。従って,気候フィードバック効果を導入したことは,妥当であったと結論付けられる。しかし,衛星データから算出されたNPPのトレンドは,モデルから求めた値よりも依然として大きな値である。気候フィードバック効果を考慮したモデルと比較しても2.5倍の開きがあるので,双手法のさらなる改善が必要である。衛星データについては,不十分な大気補正や地表面BRDF補正等の様々なデータ品質の改善が必要である。4-SCEMについては,過去の大気CO<SUB>2</SUB>との不一致の改善や,窒素による肥沃化効果,水分条件の考慮等が必要である。<BR>将来のCO<SUB>2</SUB>濃度や気温の予測の結果,ISAM等他のモデルと比較して,2100年時点で大きな違いは見られなかった。しかし,NPP等の生物圏プロセスについても検証を行うことにより生物圏についても簡単ながら議論ができるようになり,モデルの精度向上と改善へとっながった。<BR>リモートセンシングデータは,過去20年以上にわたって高い時間・空間分解能の地表面等の情報を与えてくれる唯一のデータである。現段階では,衛星データを用いて生物圏等の経年変動や長期トレンドをモニタリングするためには,依然としてノイズが大きく精度が十分でないため,補正等によるS/N比の向上が非常に重要である。現在の地球環境の将来予測モデルでは,生物圏炭素収支の経年変動データが不足しているために,生物圏モデルに十分な制約を与えていない。今後,リモートセンシング等によるより精度の高いグローバルモニタリングにより,モデルにより強い制約を与え,さらには,大気CO<SUB>2</SUB>濃度や気温,各炭素循環プロセスにっいて,より正確な将来予測を行うことが可能となる。
著者
中島 周 安藤史郎 フィン ・トン・ハン 村上 和隆 篠﨑 雅英 黒澤 隆
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.1371-1384, 1993-06-15
被引用文献数
3

本論文では、LANまたはISDNで接続されたパーソナルコンピュータを用いてマルチメディアのプレゼンテーションを行うシステム、リアルタイムプレゼンテーションシステム(RealTime Presentation system:RTP)について、その設計思想、各機能の実現方法、試行結果を述べる。RTPではオーバヘッドプロジェクタ(Over Head Projector:OHP)を使ったプレゼンテーションをモデルとし、そこで使われる各機能を分散環境で実現している。参加者はOHPシートに相当する複数枚のマルチメディアシートを共有し、ぺ一ジめくり、注釈付け、テレポインティング、新しいシートの作成を行うことができる。マルチメディアシートは、テキスト、イメージ、グラフィックス、音声を含み、プレゼンテーションの前に発表者によって準傭される。任意のアプリケーションのウィンドウイメージを取り込み共有するウィンドウコピーの機能を利用することにより、発表中にスキャナやビデオカメラから入力したイメージデータを利用することも可能である。相手の顔や表情をリアルタイムで確認するために、動画と音声を圧縮し、ISDN回線を通して伝送、再生する機能も提供している。さらに、動画と音声を自分や相手のマシンにデジタルで保存、再生することもできる。