著者
秋田 純一 村上 知倫 戸田 真志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.163, pp.159-164, 2007-07-19

近年のVLSI技術の進歩に伴うコンピュータシステム・ネットワークシステムの進歩により、我々が多くの電子機器を常時身につけて利用する、いわゆる「ウェアラブル・コンピューティング」が現実的となってきた。ウェアラブル・コンピューティングにおいて、身につける機器数が増大するのに伴い、ケーブルのひきまわしと、電源確保という2つの問題が深刻となってきた。著者らはこれまで、我々が普段から着用する衣服に着目し、これを導電性の布によって製作し、それを電力供給と通信に用いることでケーブルのひきまわしと電源確保の問題を根本的に解決するネットワークシステムTextile Netの開発を行ってきた。しかし従来のTextileNetシステムでは通信の信号振幅が大きいため、消費電力の低減と高速化に限界があるという問題があった。本稿では、直流電力供給に小振幅の通信信号を重畳する方式(DC-PLC)に基づくTextileNetの改良形について述べる。このDC-PLC方式の予備的な実験結果と、その結果に基づくトランシーバLSIの設計・評価の結果について述べる。