著者
堀尾 文彦 村井 篤嗣 小林 美里
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

ビタミンC(VC)生合成不能のODSラットにVC無添加飼料を8日間与えた時期には欠乏症状は全く発症していないが、LPS誘発性敗血症を引き起こすと5.5%という極めて低い生存率であった。それに対して、最小必要量のVCの摂取は生存率を39%にまで上昇させ、ビタミンC摂取が敗血症防御効果のあることを初めて示した。さらに特筆すべきことは、最小必要量の10倍の高用量のビタミンC摂取は生存率を61%にまで改善させ、高用量VC摂取が敗血症に対して有効な防御手段であることを示した。このVCの作用は、LPSによる血中単核球でのTNFαおよびIL-1βの産生上昇の抑制によることを示唆する結果も得た。
著者
堀尾 文彦 村井 篤嗣 小林 美里
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

ビタミンCであるアスコルビン酸(AsA)の欠乏時には肝臓のヘムタンパク質であるシトクロムP-450(CYP)が減少し、薬物代謝能が低下する。しかし、このAsAの作用機構は明らかではなかった。本研究の結果、AsA生合成不能のODSラットのAsA欠乏時には肝臓のヘム分解の律速酵素であるヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の発現上昇が起こることを見出し、それに続いてCYP量の減少することを証明された。そして、AsA摂取下でもHO-1誘導剤投与が肝CYP量の減少させることを見出した。本研究により、AsA欠乏によりヘム分解が亢進して肝CYP量の減少をもたらすというAsAの新規な生理機能を提唱できた。