- 著者
-
村山 稔
- 出版者
- 日本義肢装具学会
- 雑誌
- 日本義肢装具学会誌 (ISSN:09104720)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.3, pp.216-220, 2022-07-01 (Released:2023-07-15)
- 参考文献数
- 21
脳卒中患者の歩行練習において,長下肢装具の使用開始から短下肢装具に移行するまでの間にも,歩行能力の改善にともなって段階的な難易度の調整が必要と考えられる.そこで今回,長下肢装具から短下肢装具に移行する間の歩行練習と装具の設定について,考慮すべき点をまとめた.長下肢装具は膝関節を固定するだけでなく,30°屈曲に可動させることにより,荷重応答期から立脚中期における内側広筋の筋活動比が増加する.また,膝継手を屈曲遊動にした介助歩行により,短下肢装具に比べて強制的に速い速度の歩行が可能になる.短下肢装具では踵からの初期接地を補償し,荷重応答期に底屈を促す設定で継続使用することで,荷重応答期における前脛骨筋の筋活動比が増加する.それぞれの時期に適切に装具を設定することで,先行研究で懸念されている長下肢装具や短下肢装具の使用による廃用性筋萎縮は,防ぐことが可能と考えられる.