著者
村岡 哲也 池田 弘明
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.106-115, 2013-03-01 (Released:2018-01-31)
参考文献数
23

最近では,PCの普及によりディスプレイを使わない生活はありえない.しかし,眼の安全性を考慮して,ディスプレイの使用による眼精疲労が及ぼす作業への影響に関しては,自然科学としての観点から行なわれた研究は殆ど見られないようである.そこで,筆者らは眼精疲労に基づく目の焦点調節機能(視機能)の低下と可読性の劣化に焦点を当て,測定法提案や試料測定を行い,更に,可読性劣化の要因である作業効率(仕事率)の低下,誤読文字の増加などを測定・分析し,必要なパラメータをデバイス評価の定量的データとして収集・評価することを試みた.なお,本文では眼精疲労の物理的要因を調べるため,疲労による毛様体筋の温度上昇を測定して,ほぼ1℃程度の温度上昇が疲労に大きな影響を齎すことも明らかにした.試料はCRT,冷陰極管をバックライトとしたTFT-LCD,および白色LEDマトリックスをバックライトとしたTFT-LCDの3種類である.上述の結果を相対評価することにより,ヒューマン・マシン・インターフェースとして良好な特性を持ち,目に安全な型式のディスプレイを選別する方法を明らかにした.
著者
村岡 哲也 池田 弘明
出版者
日本信頼性学会
雑誌
日本信頼性学会誌 信頼性 (ISSN:09192697)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.220-230, 2014

大都会では,到る所で高層ビルや橋梁などの建設がなされている.例えば,高層ビルの工事現場付近の路上を通りかかった通行人が,突然,建設資材である鉄骨の落下により,不慮の大事故に巻き込まれることがある.しかし稀にではあるが,周囲環境の異変である鉄骨の落下の気配を第六感として感じ取る人もいる.更に瞬時に危機回避行動をとった結果,大事故を回避できた通行人もいる.つまり,たとえ五官の目・耳・皮膚などのセンサが只ならぬ気配を瞬時に第六感として知覚しても,反射的に回避行動が取れなければ意味がないことは分かっている.そこで,本研究では,第六感による知覚から危機回避行動が取れた場合を第六感が機能したと定義する.その定義に基づいて,バーチャルリアリティを取り入れたPCによるモデル実験を採用することによって,被験者の反応を測定し,得られた測定データを比較検討・分析した.全体で回避行動が取れたと評価される被験者は,僅か6%であった.次の6%の被験者は,第六感が機能しても,β波のピークが複数本出力されているので,あまりにも緊張感が強すぎて身体が硬直し,回避行動を取るのは困難であると評価された.その他に,回避行動までとれたと評価される被験者と同様の脳波を示す被験者が9%であった.しかし,建設資材である鉄骨が頭上に落下して致命的な事故が発生した後なので,第六感の機能からは除外した.以上の21%を除く79%の被験者はδ波,θ波,α波,およびβ波の何れの脳波も検出されなかった.そこで「第六感の機能によって危機回避行動が取れた」とする6%の被験者の評価結果を適切に利用すれば,今後,建設工事現場における不慮の事故を含む幅広い労働災害の低減が可能になると考えられる.五官の目・耳・皮膚などのセンサが視覚・聴覚・圧覚(触覚)として作用するので,それらの積集合で周囲環境の異変を瞬時に知覚し,反射的に回避行動が取れたと認められる.
著者
村岡 哲也 池田 弘明
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.26, pp.59-62, 2013-11-05

鹿児島県霧島市敷根清掃センターで,振動ふるい機に搭載されている三相誘導モーターについてLCC数理モデルの有効性を継続調査している.2008年度まで,敷根清掃センターの三相誘導モーターは,単年度の連続稼働後に全て廃棄処分されていた.2009年度からは,三相誘導モーターを2台調達して,単年度ずつ交互に稼働させ,稼働後のモーターはメンテナンス後,次年度の予備として待機させている.現在,それを繰り返す「新しい定期保全方式」を展開中であり,4年目の単年度あたりの経費は672,000円で,LCCにおけるメンテナスの低減効果がかなり顕著に見られるようになってきた.今後,LCC低減化の調査結果に推測統計学を適用して「新しいLCC算出のための一般式」を提案して行きたいと考えている.