著者
河内 淳 藤原 正利 林 靖江
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.69-72, 2010

最近のものづくり技術の進歩には目を見張るものがあり、結果として高品質でかつ低価格のものが大量に世界市場に供給され、現在の文明の繁栄にとって不可欠なものとなっている。一方、部品の故障による車のリコール、家電製品のPL(Product Liability)問題が多発し、消費者に不信と不安を与え、大きな社会問題になっている。また解決には莫大な費用を必要とし、経済的にも企業に大きな打撃を与えている。リコール、PL問題は解決すべき喫緊の課題である。リコールは論理的にゼロにできないのであろうか、本論文はこの疑問に応えるべく、製品故障のバスタブカーブの分析を行い、又、開発手順を分析した。その結果、バスタブカーブの偶発故障の要因を見極め、現在のものづくりの方法に内在する論理欠陥を排除することにより、故障ゼロのものづくり、即ちRecall-Free Productionが可能となることがわかった。
著者
河野 翼 廣瀬 英雄
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.41-44, 2012

パンデミックによる感染モデル,ソフトウエアの故障成長モデルとして用いられるコンタクトモデルの確率分布に対して,パンデミック初期,あるいは故障がはじまって間もない時期の観測データを用いて,パンデミック終息時の予測,あるいは故障終息時の予測を行なう際,統計的打ち切りモデル(truncatedモデル)を用いることがある.このとき,終息予測値は低めに見積もられることがあり,このとき災害対策上は危険側に予測されることになる.ここでは,このような推定現象についての考察を行ない,より正確な予測法について考える.故障の背後分布にワイブル分布を仮定した場合について,truncatedモデル,ワイブル微分方程式モデル,SIRモデル間での予測結果の比較を行う.
著者
黒沼 友恵 高橋 聖 中村 英夫 池田 岳雄 森 昌也 今村 覚
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.71-74, 2013

システム開発にはプロトタイピングという手法がある。この手法は、最低限の機能や操作画面を実装した試作品(プロトタイプ)の作成を繰り返し行い、ユーザに確認してもらう。これをシステム開発初期のシステム発注側と開発側で共に行う要件定義段階で行うことで、要件の漏れや食い違いを防げる。また、本来システムが完成した後でしか確認できないユーザインタフェースを初期に確認することもできる。この結果、最終段階での手戻りを防げるといった効果が認められている。これに対し本研究では、開発側に仕様を提案する前の仕様検討段階においてプロトタイピング手法を適用した場合の効果を検討した。
著者
佐藤 真吾
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.13, pp.31-34, 2000

半導体製品の評価試験の一つにESD耐性試験があり、そのうちの最も標準的に行なわれているものがHuman Body Model (HBM)試験である。このHBM試験では、ESD印加後、デバイス破壊判定を行なうが、この破壊判定において、その従来の方法では充分に検知できない破壊の事例を最近の試験でいくつか経験した。そうした問題に対応する有効な判定方法・条件の改善を実施すると同時に、さらに、従来のDC測定による方法に加えて、製品機能試験を効果的に併用することで、破壊の見逃しのリスクを最小限にする、より正確かつ効率的な判定方法を提案・実施した。
著者
原田 文明
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.23, pp.35-38, 2015-06-30

信頼性加速試験の国際規格として2013年6月にIEC62506が制定された.新製品の短期開発のために加速試験は不可欠な手法であるが短時間での故障現象の発生だけに注目するのではなく信頼性の技法として共通の認識で行う必要がある.また,加速試験の持つリスクや限界も十分に理解されていないことが多いことから米国の提案で検討が始まり約3年間の検討と審議を経て制定された.本発表ではプロジェクトメンバーとして制定に携わった立場から制定の経緯や国際標準化の意義を踏まえてこの規格の概要を紹介する.
著者
平本 匡寛 望月 寛 高橋 聖 中村 英夫
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2005, no.18, pp.29-32, 2005-11-18

ATS地上子のQ値管理は、安全性確保のためには必須の要件である。現在、Q値管理は沿線に配置されたATS地上子を定期保全によりQ値測定装置で計測している。また、省力化を目的として車上からATS地上子のQ値を検測することもおこなわれているが、レベル管理が主体であり正確なQ値計測と対応性の点で問題がある。提案する手法は、車上側のアンテナ(車上子)の電流値検測によりQ値を算出するもので、地上子対アンテナ間の距離や相互誘導係数値によらない安定した計測ができる。
著者
村岡 哲也 池田 弘明
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.26, pp.59-62, 2013-11-05

鹿児島県霧島市敷根清掃センターで,振動ふるい機に搭載されている三相誘導モーターについてLCC数理モデルの有効性を継続調査している.2008年度まで,敷根清掃センターの三相誘導モーターは,単年度の連続稼働後に全て廃棄処分されていた.2009年度からは,三相誘導モーターを2台調達して,単年度ずつ交互に稼働させ,稼働後のモーターはメンテナンス後,次年度の予備として待機させている.現在,それを繰り返す「新しい定期保全方式」を展開中であり,4年目の単年度あたりの経費は672,000円で,LCCにおけるメンテナスの低減効果がかなり顕著に見られるようになってきた.今後,LCC低減化の調査結果に推測統計学を適用して「新しいLCC算出のための一般式」を提案して行きたいと考えている.
著者
石田 豊 高津 雅一 蓬原 弘一
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
no.16, pp.49-52, 2003-10-24

非常停止ボタン, トング利用のドアスイッチ, 3-ポジションイネーブルスイッチは代表的な機械的安全コンポーネントとして現在現場で盛んに実用され, また国際的にもその利用が推奨されている。国際安全規格はこれらの機械的構造に対して安全確保原則を定め, その適用を強く推奨している。本報ではこれらのコンポーネントの機械的構造を論理的一般式にて表現し, 安全確保の構造特性を安全確保原則に基づいて説明する。
著者
上村 圭右 平野 篤 内藤 正雄
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.18, pp.35-36, 2010-05-28

防衛省では、開発や量産への着手等の結節点における費用(LCC)対効果の判断を踏まえた意思決定、また、コスト面に係る説明責任の強化を行うため、各種装備品のライフサイクルコスト(以下、「LCC」という。)の算定を実施している。LCCの算定において最も重要となるのが、LCC算定の基準となるコストモデルを構築することである。コストモデルは、陸上車両、航空機等装備品の分野ごとに構造が異なるため、それらの分野ごとにコストモデルを構築する必要がある。ここでは、平成21年度にLCCを算定した新戦車(図1参照)について、算定の考え方を説明し、さらに、米国の装軌車両のコストモデルとの比較を行う。
著者
村岡 大樹 田村 信幸 弓削 哲史 柳 繁
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.20, pp.103-106, 2007-11-30
被引用文献数
1

本研究では、2段階整備方式を受けるマルチアイテムシステムの稼働率解析を行う。対象とするシステムは複数のアイテムから構成された冷待機直列システムであり、故障中のシステム内の正常アイテムは予備として利用可能な場合と不可能な場合の2通りを考える。前者については近似解析手法を提案し、シミュレーション解析の結果を用いて近似解析の近似精度を検討する。後者についてはシミュレーション解析のみを行い、前者のモデルとの比較を、数値例を用いて行う。
著者
前 友章
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2005, no.18, pp.97-100, 2005-11-18

ATC (Automatlc Train Control)システムなどの導入にあたって必要な軌道回路のシミュレーション手法について,システム規模の増大とともに,従来の手続き型プログラミングに基づいた手法の問題点が顕在化していた.本開発では,シミュレーション手法にOOP (Obiect Oriented Programming)を適用し,軌道回路をオブジェクトとして一般化することにより大規模かつ簡便なシミュレーションを可能とし,解析の人為的ミス,解析時間の短縮,解析精度の信頼性向上を達成した.更に,現在の山手・京浜東北線の一部区間で更新・稼働中のATC (D-ATC)に適用することにより,軌道回路の電気的特性検討の事前評価に貢献する事ができた.
著者
平沼 栄浩 夏目 武 塩谷 光
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.20, pp.111-114, 2007-11-30

産業機械の電気装置に於ける安全に関して,「人及び財産の安全」,「制御応答の一貫性」及び「保全の容易さ」の目的達成に関する安全設計のライフサイクルコトスを仮定する。安全の目的達成手段として,感電、電気火災及び機能不全に対する安全方策が要求される。本論文では,機能不全に注目し,安全設計開発から安全設計性能レベルの維持の予防保全を仮定する。安全設計に関する方策及び予防保全のコストをライフサイクルコスティングの観点から試案する。
著者
周 杰 高橋 聖 中村 英夫
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.24, pp.67-70, 2011-11-07

システムの高信頼性・高性能の要求を応えるため、マイクロカーネルを用いるマルチコアシステムの構築について検討する。複数のプロセッサを搭載したシステムにおいて、アーキテクチャの性能向上率への影響を考慮してオペレーティングシステム機能を分散することでシステムの高信頼性を実現する。この思想のもとに、マイクロカーネル技術を用いてマルチコアシステムモデルの構築とその実現手段について報告する。
著者
根本 規生 鈴木 浩一 中川 剛 山田 敏行 菅沼 克昭
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.23, pp.15-18, 2010-11-05

地上用部品の鉛フリー化に伴い、鉛入り部品が枯渇しているため、現在は宇宙機において鉛フリー部品の使用を制限しているが、将来的に使用せざるを得ない状況を想定して準備している。鉛フリー部品に成長するすずウィスカによる短絡故障等のリスクを低減するため、すずウィスカ抑制効果に関する評価を実施している。宇宙環境を想定した熱真空試験におけるウィスカ成長評価を実施し、大気中で熱サイクルにより成長するウィスカと比較するとウィスカの形状が異なることが判明した。熱真空試験で成長したウィスカの方が直線的に成長し、細く長いことが明らかになった。また、宇宙機に適用されているコンフォーマルコーティング材を用いたウィスカ抑制効果の評価では、熱膨張係数差により成長するウィスカは、コンフォーマルコーティングを貫通しないことを確認した。
著者
堀越 雄太 金 路 鈴木 和幸
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2007, no.20, pp.91-94, 2007-11-30

モニタリングシステムから警報が発せられた際に保全行動を行う安全監視保全では、誤報と欠報によるリスクを押さえた上での瞬時の意思決定が要求される。リスクを抑える手段の一つとして複数のモニターを組み合わせるという方法があるが、これには各モニターから得られた情報を如何にして保全行動と結びつけるかを考える難しさもある。瞬時の意思決定を困難とするこの問題を解決する方法の一つとして、k-out-of-n型監視方策(k-Out-of-n構造)がある。本研究では、期待リスクを最小にする視点から、k-out-of-n構造の最適性を示す。これにより、瞬時の意思決定の効率化を図ることが可能となる。
著者
生熊 克己 向殿 政男
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.35-38, 2011

本稿では交通事故を個々の事象に限定せず社会的現象としてとらえることとした.人の特質である行動特性の曖昧さの情況を明確にするとともに,交通統計年鑑の事故データから人間が操作する自動車運転システムの安全性の現状レベルを確認する.次に,ヒューマンエラー水準の推定から今後の事故低減対策に向け,人に依存する安全運転の限界を説明する.更なる交通事故低減目標の実現に向け,安全運転支援装置として電子制御システムによる人の弱点を補う視点で,例として早期危険認知による追突死亡事故半減について提案する.
著者
安達 健二
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2005, no.18, pp.17-20, 2005-11-18

各種制御装置で使用されるプリント基板には半導体部品を初め各種部品が搭載されており、最近の高密度実装基板では表面実装部品が多用され、不具合・故障が発生した場合の回路検査が困難で、異常や故障部分(部品)を特定するために苦慮している。そこで、コンデンサの短絡など故障時に異常発熱が伴うことから、赤外線温度計測装置を用いて異常発熱部品を抽出し、非破壊で迅速に対処する方法を検討した。
著者
平野 篤 上村 圭右 内藤 正雄
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.18, pp.33-34, 2010-05-28

防衛省では、防衛装備品を取得するためのコストを量産単価だけでなく、構想、開発、量産、運用・維持、廃棄までの過程(ライフサイクル)に必要な総経費として、ライフサイクルコスト(以下、「LCC」という。)管理を行うことで、開発や量産への着手時の結節点において、費用(LCC)対効果の判断を踏まえた意思決定が可能になると考えている。防衛省では、平成20年3月に「総合取得改革推進プロジェクトチーム報告書」を作成し、現状の課題、体制整備、統一的なLCCの算定方法の確立、LCC管理の試行及び人材育成の検討結果が述べられた。その過程において、平成20年度より、防衛省の調達機関である装備施設本部においてLCC算定要領を作成し、航空機(戦闘機(図1)、哨戒機)を対象としたLCC年次報告書を提出した。その後、対象を航空機以外にも拡大して平成21年度の報告書にまとめている。さらに、平成21年度には、装備施設本部内にライフサイクルコスト管理室が9名体制で発足し、防衛省内におけるLCC管理業務を行なっている。本内容は、LCC管理室で作成した、LCC算定要領の概要及びLCC管理年次報告書について報告する。