著者
行岡 秀和 田勢 長一郎 黒田 泰弘 谷川 攻一 村川 德昭 中川 隆
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.85-89, 2016-08-01 (Released:2016-08-23)
参考文献数
8

心肺蘇生(CPR)の合併症の部位や頻度に関する検討はほとんど行われていない。日本蘇生学会医師会員923名に対して,CPR実施数(指導数を含む),合併症の部位・頻度,防止策などについてアンケート調査を実施した(回答率46%)。回答者は,40歳以上が84%,男性が84%で,ほとんどが麻酔科,救急科の専門医であった。CPR実施数は,20回以下26%,21~100回33%,101回以上41%で,85%が合併症を経験しており,肋骨骨折,気胸・血胸,胸骨骨折,皮下気腫・縦隔気腫,胃内容逆流,誤嚥性肺炎,肺損傷,肝損傷の順であった。合併症防止の注意点としては,胸骨圧迫の部位,強さ,気管挿管の手技が多かった。心停止において迅速なCPRが予後を改善することは明白だが,今回の調査で,合併症は熟練した医師でも発生することがわかった。合併症を最小にするCPR法や予後に及ぼす影響を検討する必要がある。