著者
加藤 昌弘 村松 輝昭 田中 裕之 森谷 信次 柳沼 福夫 一色 尚次
出版者
The Japan Petroleum Institute
雑誌
石油学会誌 (ISSN:05824664)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.186-190, 1991-03-01 (Released:2008-10-15)
参考文献数
3
被引用文献数
1 2

私達は, 先にアルコール-軽油混合液の沸点挙動について報告した1)。今回, アルコール-軽油混合溶液の液密度について検討した。使用した6種類のアルコールは, メタノール, エタノール, 1-プロパノール, 2-プロパノール, 1-ブタノール, 2-メチル-1-プロパノールである。さらに, 軽油の代表成分としてセタンを選び, メタノール-セタン, エタノール-セタン系についても検討した。密度測定には Anton-Paar 社製のデジタル密度計を用いた。Table 1に使用したアルコール, セタン, 軽油の物性値を示す。Figs. 1~3とTables 2~6に今回298.15Kで得られた密度データを示す。298.15Kにおいてメタノール-軽油, メタノール-セタン, エタノール-軽油, エタノール-セタン系で不均一領域が得られた。Tables 3~6に不均一となった4種の系について得られた密度データを示す。2液相領域では上相, 下相をそれぞれ取り出し密度を測定した。密度データの交点から相互溶解度を求めた。精度は軽油系で約±0.01, セタン系で約±0.001重量分率である。Table 7に今回求めた相互溶解度をそれぞれ示す。次に, メタノールあるいはエタノール10gと軽油10gからなる不均一混合溶液に第三成分として水を加え, 密度挙動を測定した。Tables 8, 9とFigs. 4, 5に測定結果を示す。Figs. 4, 5における実線の交点でアルコール相と軽油相が等密度となる。等密度エマルション混合溶液は相分離に時間がかかり, 自動車用エンジンにほぼ均一な供給が可能になる。
著者
加藤 昌弘 村松 輝昭 植田 裕樹 山口 正人 小澤 智樹
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会誌 (ISSN:05824664)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.312-317, 1992
被引用文献数
14

メタノールとヘキサン, シクロヘキサン, およびヘプタンからなる3種2成分系溶液の溶解度曲線と298.15Kにおける液密度を測定した。得られた液液平衡と液密度挙動を状態方程式で相関した。<br><b>Table 1</b>に実験で用いた試薬の物性値を示す。<b>Table 2</b>に298.15Kにおける液密度の実験値を示す。ここで, 括弧内の数値は2液相分離しているときの上相と下相の密度を示す。密度はデジタル密度計で測定した。液密度挙動を Fig. 1に示す。液密度曲線での屈曲点から相互溶解度を決定した。298.15Kにおける密度測定から得られた相互溶解度を<b>Table 3</b>に示す。<br>溶解度の測定は, まずガラスアンプルに望む組成の溶液を仕込み, ガラス上部を溶かして密封した。このアンプルを恒温水槽に人れ, 試料アンプルを振りながら液相の状態を観察した。温度を変化させ, 2液相状態と均一液相状態との境界温度を測定して, その組成での溶解度温度とした。得られた溶解度温度の実験値を<b>Table 4</b>および<b>Figs. 2~4</b>に示す。<br>得られた液液平衡と液密度データを, Eqs. (1)~(5) に示す状態方程式で相関した。今回は, 係数<i>a</i>と<i>b</i>の温度依存性をEqs. (6)~(10) に示すように持たせ, 298.15Kにおける密度と蒸気圧を満足させた。<b>Table 5</b>に各純物質に対する補正係数の数値を示す。<br>状態方程式を混合流体に適用するために, Eq. (11) で示す Huron-Vidal 型の混合則を導人した。ここで関数Fには, Eq. (12) に示す3定数 Wilson タイプ, およびEq. (13) に示すNRTLタイプを用いた。また, パラメーター<i>b</i>およびθについては Eqs. (15)~(17) に示す混合則を用いた。3定数 Wilson タイプのパラメーターとNRTLタイプのパラメーターはEqs. (18) および (19) に示す温度の関数として整理した。<b>Table 6</b>に, 液液平衡と液密度の実験値を同時に状態方程式で相関して得られたパラメーターの数値および液密度の相関精度を示す。<b>Fig. 1</b>の実線は, 状態方程式による液密度の計算結果を示す。<b>Figs. 2~4</b>に溶解度曲線の計算結果を示す。ここで,実線はNRTLタイプ, 破線は Wilson タイプを示す。