著者
村田 大紀
出版者
佐賀大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

靭帯断裂に対する再生医療の応用として近年,in vitroにおいて作製した靭帯様構造物を移植する方法が,実験的に試されている。しかし,靭帯様構造物には人工材料が用いられており,長期にわたる異物反応や自己組織化の阻害など,そこには多くの問題が存在する。そこで申請者はまず,人工材料を用いることなく,これまで開発に携わってきたバイオ3Dプリンタを用いることで,iPS細胞由来間葉系幹細胞からなる,未分化な立体細胞構造体を作製することにした。その後,独自に開発した自動伸展培養容器を用いて,in vitroで靭帯組織へと分化誘導し,靭帯組織体を創出することで,新たな靭帯再建技術の確立を目指すこととした。
著者
村田 大紀 三浦 直樹 松元 光春 三好 宣彰 藤木 誠 三角 一浩
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.64, no.9, pp.703-707, 2011-09-20 (Released:2017-05-26)
参考文献数
7

調教中に転倒し,後肢の腰フラ様蹌踉(よろめき)を伴う混跛を呈した馬の症例に対して画像検査を実施した.脊髄造影検査では,第6頸椎と第7 頸椎の間(C6-C7)において造影剤の拡散が背側方向から障害されている所見が得られた.剖検時に行った頸椎及び胸椎(T)のコンピューター断層撮影(CT)検査では,C6-T2におけるすべての左側前後関節突起間隙に開大の所見が確認された.また,第1胸椎(T1)の左側前関節突起の変形と骨折片も確認された.さらに,C6-C7 において背側から軟部組織と思われる領域が脊髄を圧迫している所見が得られた.脊髄の病理組織学的検査では,C6-C7 における左側の側索から背索にかけて脊髄症の所見が得られた.以上より本症例は,転倒による頸胸弯曲部の外傷性椎骨骨折及び骨変化による椎骨列の異常に伴い軟部組織が脊柱管へと押し出された結果,圧迫性脊髄症を呈したと考えられた.