著者
村田 志保
出版者
名古屋市立大学
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.205-219, 2009-12-23

接頭辞「お」は、日本語の敬語体系に属しており、尊敬語、謙譲語、美化語に関係している。しかし、接頭辞「お」の付いた形(「おかばん」「お菓子」「おやつ」など)自体は、尊敬語、謙譲語、美化語ともに変化はなく、みな同じ形である。そのため、日本語教育において、接頭辞「お」を扱う場合、同じ形をどう教えるかが、問題となってくる。本稿では、日本語教育において、接頭辞「お」をどのように扱うとより学習しやすくなるのかを踏まえながら、接頭辞「お」の持つ用法分類を検討した。先行研究より接頭辞「お」は、一般的な敬語分類において、「尊敬語」「謙譲語」「美化語」に関連していることがわかっているが、実際の現場においては、「美化語」ではなく、「丁寧語」という解釈もある。このような扱いについて、敬語の5分類にこだわらず、接頭辞「お」の用法として学習者に説明するという立場から、「おかばん」などの語を代表とする[敬意の「お」]、「お菓子」などの語を代表とする[丁寧の「お」]、「おやつ」などの語を代表とする[名詞化した「お」]という三つの用法に分類するという仮説を提案し、それらについての検証方法を考察した。
著者
村田 志保
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.119-133, 2012-12-21

「お忙しいですね。」「お元気ですか。」など、ごく自然に会話のなかで使われる。これらは形容詞の敬語表現であり使用頻度も高いのだが、日本語教育において、形容詞の敬語教育を体系的に導入している教材は数少ない。また「お/ご」の選択に関しても、「お」は和語で「ご」は漢語であるといった語種による判別しか今のところ基準はないので、その基準を導入せざるを得ない。しかし実際には語種だけでは判別しにくい、「?おおもしろい」「?おシンプルな」「?ご危険な」というような、「お/ご」の付きにくい例もある。本稿では初級教材で扱われている形容詞を抽出した約150語を初級形容詞とし形容詞の意味的な側面、そして文法的な側面より「敬語としての形容詞分類」、「形容詞の敬語表現」、「「お/ご」の付加」の3点を軸に考察を進め、2つの考察結果が得られた。「(お/ご)~ て/でいらっしゃる」は「?社長のおかばんは大きくていらっしゃる。」のように、高めようとする人を主語にはせず、「もの」のときには「お/ご~ です」を選択する傾向が強いことがわかった。また「お/ご」は初級形容詞の範囲では「外来語」「「お」で始まる語」には付かず、その他の条件である「モーラ数の多い語」「悪感情を持つ語」「ある意味の語」はあくまで付かない傾向にあるというに留まり、条件として提示するには例外も多いことがわかった。
著者
村田 志保
雑誌
人間文化研究 (ISSN:13480308)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.205-219, 2009-12-23

接頭辞「お」は、日本語の敬語体系に属しており、尊敬語、謙譲語、美化語に関係している。しかし、接頭辞「お」の付いた形(「おかばん」「お菓子」「おやつ」など)自体は、尊敬語、謙譲語、美化語ともに変化はなく、みな同じ形である。そのため、日本語教育において、接頭辞「お」を扱う場合、同じ形をどう教えるかが、問題となってくる。本稿では、日本語教育において、接頭辞「お」をどのように扱うとより学習しやすくなるのかを踏まえながら、接頭辞「お」の持つ用法分類を検討した。先行研究より接頭辞「お」は、一般的な敬語分類において、「尊敬語」「謙譲語」「美化語」に関連していることがわかっているが、実際の現場においては、「美化語」ではなく、「丁寧語」という解釈もある。このような扱いについて、敬語の5分類にこだわらず、接頭辞「お」の用法として学習者に説明するという立場から、「おかばん」などの語を代表とする[敬意の「お」]、「お菓子」などの語を代表とする[丁寧の「お」]、「おやつ」などの語を代表とする[名詞化した「お」]という三つの用法に分類するという仮説を提案し、それらについての検証方法を考察した。