著者
河野 正志 寺田 萌 大松 聡子 富永 孝紀 村田 高穂
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.727-735, 2019-12-15 (Released:2019-12-15)
参考文献数
13

重度失語症を呈した左半球損傷患者に対し,視覚探索訓練を実施した結果,コミュニケーション能力の向上が観察され,その評価として,画像視認中の視線分析を用いて検討したので報告する.発症3ヵ月後,コミュニケーション場面では,状況理解に必要な部分へ視線が向かず,非言語情報の理解の低下を認めた.視線分析では,視認中の視線の動きは乏しく,注視点は1ヵ所に停留する傾向を示した.視覚探索訓練を実施した結果,視線分析やコミュニケーション場面において視線の動きが増え,非言語情報の理解・表出の向上が観察された.視覚探索訓練により,非言語情報の入力過程に関わる視覚性注意の改善が寄与した可能性が考えられた.
著者
大植 賢治 富永 孝紀 市村 幸盛 河野 正志 谷口 博 森岡 周 村田 高穂
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.109-114, 2010 (Released:2010-03-26)
参考文献数
19

〔目的〕本研究では,言語教示によって対象者の能動的注意を自己の身体内部および外部に向けさせて,運動を認識している際の脳活動の違いを明らかにすることを目的とした。〔対象〕右利き健常成人8名とした。〔方法〕機能的近赤外分光装置(fNIRS)を用いて検証した。〔結果〕能動的注意を右手で自己の身体内部へ向けた場合では,右半球前頭前野と右頭頂領域で,左手で身体外部へ向けた場合では,左半球前頭前野と左頭頂領域で酸素化ヘモグロビンの有意な増加を認めた。〔結語〕今回の結果から,運動を認識する際の運動と同側大脳半球の左右大脳半球の機能分化として,能動的注意が右手で身体内部に向かう場合は右半球前頭-頭頂領域が,左手で身体外部に向かう場合は左半球前頭-頭頂領域が担うといった側性化が存在することが示唆された。