著者
杤山 修 高須 亜紀 池田 孝夫 木村 英雄 佐藤 正知 長崎 晋也 中山 真一 新堀 雄一 古屋 廣高 三頭 聰明 山口 徹治
出版者
一般社団法人 日本原子力学会 バックエンド部会
雑誌
原子力バックエンド研究 (ISSN:18847579)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.3-19, 1998-09-01 (Released:2014-10-01)
参考文献数
44
被引用文献数
3 5

放射性廃棄物の地層処分の安全性評価において,現在用いられている核種移行モデルは主として,固体物質による遅延効果を収着分配係数 Kd を用いて評価している. しかしながら,収着はその機構が未だ十分解明されていない現象であるため,移行モデルに Kd を用いるにあたっては,いくつかの注意が必要となる. このような問題は,収着が固体と水の界面あるいはその近傍で起こる不均一系の反応であることと,核種の移行媒体である地質媒体の物理的性質や化学的性質が一様でないことに起因している. 本論文では,収着は固体と水の界面あるいはその近傍で起こる現象であるという理解のもとに,Kd を用いて記述できる収着現象の範囲について考え,さらに原位置での核種移行の評価に対する Kd による記述の妥当性と適用性について考察した.