著者
加藤 順一 来栖 昌朗 宮地 条治 逢坂 悟郎 原 泰久 谷口 洋
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.71-74, 1996 (Released:2007-03-29)
参考文献数
12
被引用文献数
1

肥満患者を対象に運動および全身温熱(サウナ)負荷テストによる呼気ガス分析を実施し,呼吸循環器面より両負荷の生理学的影響について比較検討した。また運動強度からエネルギー需要量を推測できることから,両負荷による非蛋白呼吸商から負荷方法の違いによる糖および脂肪のエネルギー消費の関与について検討した。その結果,(1)自転車エルゴメーターによる運動負荷で最大酸素摂取量(VO2 max)および最大心拍数(HR max)は著しく増加したのに対し,サウナ負荷ではVO2 maxは軽度の増加とHR maxは, 中等度の増加にとどまった。(2)サウナ負荷で呼吸商(RQ)は,運動負荷時と比較して有意に低値を示した。(3)サウナ負荷時の最大心拍数を運動負荷テストより得られた心拍数と酸素摂取量(VO2)の回帰式より酸素摂取量を計算した期待値すなわちサウナ負荷時の予想VO2 max値は,実際のサウナ負荷時の実測VO2 max値より有意に高値を示した。これらの結果より,運動強度および非蛋白呼吸商から糖および脂肪のエネルギー消費の関与する割合を推測すると,運動負荷ではRQとVO2が高く,糖質の燃焼の割合が高いのに対して,サウナ負荷ではRQとVO2が低く,脂肪燃焼の割合が高いと考えられる。すなわち運動負荷では主にグルコース代謝によるエネルギー消費が,またサウナ負荷ではグルコース代謝のみならず脂肪代謝が関与することが示唆された。
著者
中村 仁 北田 修 岡村 婦美子 来栖 昌朗 杉田 實
出版者
The Japanese Respiratory Society
雑誌
日本胸部疾患学会雑誌 (ISSN:03011542)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.718-723, 1989-06-25 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14

33歳女性, 血痰と胸痛のため昭和60年9月当科に入院. 血管造影で右肺動脈の上中葉枝に欠損が認められたが, 大動脈とその分枝には異常はみられなかった. このため肺梗塞症と診断された. その後抗凝固療法を受けていたが, 62年6月, 右頚部に血管雑音が聴取されたため再入院となった. 血管造影では, 肺動脈病変の進行と共に, 両側総頚動脈と右椎骨動脈の狭窄が認められ大動脈炎症候群と診断された. 肺動脈病変の先行を血管造影で確認できた非常に稀な例と考えられ報告した.