著者
東 美穂 冨樫 耕平 大森 由紀乃 山本 淳一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.235-247, 2021-09-30 (Released:2022-01-12)
参考文献数
11

本研究では、発達障害のある幼稚園年長児に対して、「家族」「先生」「友達」とのコミュニケーション行動の獲得を支援する家庭用教材を作成し、オンライン発達行動支援を実施した。課題間多層ベースライン法を用い、カテゴリーごとの介入効果を検討した。支援者が母親に対して行った半構造化面接をもとに、標的行動を選定した。支援者はプローブ試行のみを実施し、母親が家庭トレーニング試行の実施者となった。その結果、3種類のコミュニケーション行動が獲得され、100%に近い正反応率で推移した。1カ月後フォローアップでも高い値を示した。母親の満足度調査の結果からは、高い満足度と低い負担度が得られた。
著者
岡島 純子 中村 美奈子 石川 愛海 東 美穂 大谷 良子 作田 亮一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.47-60, 2021-01-31 (Released:2021-05-18)
参考文献数
32

本研究では、不安症状がみられる小学2~6年生の自閉スペクトラム症(ASD)児とその親に対して、認知行動療法(CBT)と親訓練(BPT)を実施し、その効果を検討した。1回120分のCBTセッションを6回、BPTセッションを6回実施した。参加者は、12組の親子であった。親と教師により、子どもの不安症状、自閉的行動特徴、情緒と行動の問題について事前、事後に評価された。自己評定の不安症状も事前と中期(CBT後)に評価された。t検定の結果、自己評定による不安症状は、「社会恐怖」において、事前よりもCBT後のほうが減少する傾向がみられた。自閉的行動特徴では、親評定の「対人的気づき」、「対人コミュニケーション」、「対人応答性尺度合計」、情緒と行動の問題では、教師評定の「仲間関係の問題」が、事前よりも事後のほうが有意に減少していた。一方で、親の精神的健康度に変化はみられなかった。