著者
池田 宏子 小島 一成 中村 美奈子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.7-14, 2006-10-27
参考文献数
6

「ザイ」は鬼剣舞の中で演じられる特徴的な動作のひとつである。これは踊り手個人が任意でする動作であり、「振付け」の範疇として習うものではないとされている。従って習得していく過程において振付けと同レベルで教えられるものではなく、ザイを切るタイミングは大体決まってはいるが、決められたタイミングで全員でしなければならないという決まりもない。あくまで踊りの型がからだに入った者が、それからさらに踊りを高度な次元で表現する術としての、「わざ」の領域の動作なのである。本稿では、「基本」と「わざ」の間にある関係性について、舞踊人類学的な調査に基づく質的分析と情報学的な動作計測に基づく量的な分析の両面からの考察を行う。
著者
池田 宏子 小島 一成 中村 美奈子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. CH,[人文科学とコンピュータ] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.47-54, 2006-07-28
参考文献数
5
被引用文献数
2

「ザイ」は鬼剣舞の中で演じられる特徴的な動作のひとつであるが、垂直上下運動を基本とする剣舞の中にあって、水平方向の動きであるザイは、基本に相反する動きであると思われる。なぜなら、ザイをすれば、基本である垂直上下運動の軸がぶれ、基本を逸脱してしまうおそれがあるからである。ゆえに、「初心者は基本に徹しザイはするな」と指導される。また、保存会の踊り手以外は、たとえ経験年数が長い踊り手であったとしても、ザイができていない踊り手は多い。要約すれば、ザイは熟練者にのみ許された舞踊動作ということができる。それでは、なぜ、基本動作に相反すると考えられるこのザイの動作を剣舞の中で行うのか、また、なぜ、ザイを習得することが困難であるのか。本稿では、この2点について、モーションキャプチャによる定量化と舞踊の指導言語を通して分析し、ザイの動作特性について明らかにする。
著者
中村 美奈子 芝野 耕司 佐多 達枝 門 行人
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、日本を代表する創作バレエ作家(振付家)の一人である佐多達枝の作品と関連資料(舞踊譜等)について、再演を目的としたドキュメンテーションおよびアーカイブ化を行い、そのアーカイブ化の過程を論文として、イリノイ大学(米国)のサイト上に公開されている電子ジャーナル「身体運動の人類学的研究」(JASHM)に投稿し、日本の創作バレエ史における佐多氏の功績を海外に発表した。
著者
岡島 純子 中村 美奈子 石川 愛海 東 美穂 大谷 良子 作田 亮一
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.47-60, 2021-01-31 (Released:2021-05-18)
参考文献数
32

本研究では、不安症状がみられる小学2~6年生の自閉スペクトラム症(ASD)児とその親に対して、認知行動療法(CBT)と親訓練(BPT)を実施し、その効果を検討した。1回120分のCBTセッションを6回、BPTセッションを6回実施した。参加者は、12組の親子であった。親と教師により、子どもの不安症状、自閉的行動特徴、情緒と行動の問題について事前、事後に評価された。自己評定の不安症状も事前と中期(CBT後)に評価された。t検定の結果、自己評定による不安症状は、「社会恐怖」において、事前よりもCBT後のほうが減少する傾向がみられた。自閉的行動特徴では、親評定の「対人的気づき」、「対人コミュニケーション」、「対人応答性尺度合計」、情緒と行動の問題では、教師評定の「仲間関係の問題」が、事前よりも事後のほうが有意に減少していた。一方で、親の精神的健康度に変化はみられなかった。
著者
八村 広三郎 赤間 亮 吉村 ミツ 遠藤 保子 小島 一成 崔 雄 丸茂 美恵子 中村 美奈子 阪田 真己子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は,舞踊における身体動作の計測と保存のためのアーカイブ技術,およびそのデータに対する数量的解析を行うことを目的としている.ここでは,デジタル画像処理技術で身体動作を精密に計測できる光学式モーションキャプチャ・システムを利用して,舞踊の身体動作データを取得する.キャプチャして得た各種の舞踊動作データを保存し,これを各種の解析や情報処理において活用する。さらに,動作データは解析や処理の研究に使うだけでなく,CGなどでコンテンツとして作成し,教育や広報活動の素材としても利用する.また,新しい芸術表現の可能性を探るものとして,これらのCGによる舞踊動作の表示を,仮想現実感(バーチャルリアリティ:VR)の環境下で活用することも視野に入れて研究活動を行ってきた.解析の結果や,CG・VRでの表現は,舞踊研究者,舞踊家,芸能研究者など,いわゆる文系の研究分担者へフィードバックし,さらに高度で,よい解析結果や,新しい表現の創出を心がけてきた.このように,このプロジェクトの研究は,単に理が文を支えるということだけではなく,文一理の間で情報を巡回させることにより,より深い成果を得るという形を重視してきた.期間内に対象とした舞踊は,日本舞踊と能楽が中心であったが,そのほかにも,アフリカの民族舞踊なども扱った.また,舞踊の種類には限定されないが,一般的に,舞踊という身体表現,あるいは日常動作をも含む身体動作に共通の動作解析手法,たとえば動作のセグメンテーション,動作や動作者の識別,身体動作の類似検索などの手法についても研究を行った.舞踊動作の質を評価する試みとして,舞踊の中の特徴的動作の抽出やラバン動作解析の手法による,動作の評価を行った.さらに,筋電図などの生体情報とモーションキャプチャによる動作データとの同時計測を可能にし,これらに基づいて熟練者と初心者の違いについて明らかにした.
著者
中村 美奈子
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.45-49, 2020-03-30 (Released:2020-03-31)
参考文献数
19

労働者の精神疾患による労災認定の増加や過労自殺,女性や高齢者,障害者の労働参加の促進などが社会的課題となっている。公認心理師は国民の心の健康の保持増進に寄与することを目指し,働く人を対象とする産業・組織領域での活躍が期待されている。働くことは社会環境の影響をうける社会的活動であり,そこには人間の様々な課題が発生するため,働く人の個別性や生涯発達をふまえた臨床心理学的支援が求められる。また,組織,企業と働く人との関係性にも配慮し,働くことを取り巻く様々な現代的な課題への理解と,個人心理臨床のノウハウを集団や組織に応用する柔軟さが求められる。つまり,産業・組織領域での心理臨床は,働く人が職場で能力を発揮し,成長発達することと,組織が効果的に働く人を管理しながら組織の目標を達成することを目指す。これには,Bio(自己管理), Psycho(心理社会的課題), Social(対人コミュニケーション),Vocational(業務遂行)の4つの視点による支援が有効である。産業・組織領域での心理臨床には,従来の相談室における個別的相談だけでなく,課題が発生している現場に出向いて関係者を巻き込み協働するアウトリーチ型支援や,社会制度や福祉サービスを適切に活用することも含まれる。クライエントである働く人と組織・企業のニーズに応えるには,心理臨床家も自分の特性や働く意味を検討しながら,働き方や臨床スタイルを柔軟に変える必要がある。
著者
池田 宏子 小島 一成 中村 美奈子
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.112(2006-CH-072), pp.7-14, 2006-10-27

「ザイ」は鬼剣舞の中で演じられる特徴的な動作のひとつである。これは踊り手個人が任意でする動作であり、「振付け」の範囑として習うものではないとされている。従って習得していく過程において振付けと同レベルで教えられるものではなく、ザイを切るタイミングは大体決まってはいるが、決められたタイミングで全員でしなければならないという決まりもない。あくまで踊りの型がからだに入った者が、それからさらに踊りを高度な次元で表現する術としての、「わざ」の領域の動作なのである。本稿では、「基本」と「わざ」の間にある関係性について、舞踊人類学的な調査に基づく質的分析と情報学的な動作計測に基づく量的な分析の両面からの考察を行う。
著者
中村 美奈子 山川 誠 八村広三郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.51, pp.33-40, 2001-05-25
被引用文献数
4

舞踊記譜法Lavanotationは、欧米では舞踊の分析や振り付けの手法および舞踊教育のツールとして広く用いられているが、日本においては、まだあまり普及していない。一方、モーションキャプチャ技術は、舞踊学の分野においても舞踊の動作分析手法の一つとして注目されてきている。本研究では、モーションキャプチャシステム、3DCG、ビデオ映像、VRMLおよび、八村研究室でこれまでに開発してきた舞踊譜作成エディタLabanEditorを統合した形での、舞踊教育のための効果的なマルチメディア教材を開発することを目的とする。Labanotation is now widely used as dance notation in Western countries. If we use hypermedia in teaching dance with Labanotation, we can expect good results in choreography and dance education. In this paper, we report on a development of multimedia teaching materials for dance by using motion capture system and Labanotation, integrating with 3DCG, VRML, video, and LabanEditor which had been developed by our laboratory.
著者
八村 広三郎 赤間 亮 矢野 桂司 遠藤 保子 西浦 敬信 崔 雄 古川 耕平 阪田 真己子 李 亮 中村 美奈子 丸茂 美惠子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

モーションキャプチャ技術などを利用して,無形文化財のデジタル・アーカイブと,そのデジタルデータを利用して,動作解析,動作認識,コンテンツ制作などに利用するための広汎な研究を行った.具体的な成果は,複数演技者による舞踊動作における同期現象の解明,祇園祭山鉾巡行の記録とVR再現,仮想ダンスコラボレーション,身体動作データベースと身体動作の類似性に基づく,データ検索手法,舞踊譜Labanotation を用いた舞踊動作の記録と動作の再現のためのシステムLabanEditorの開発.また,これの能の仕舞動作への適用.ストリートダンス身体動作の教育支援システム,などである.