- 著者
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岡島 純子
佐藤 容子
鈴木 伸一
- 出版者
- 一般社団法人 日本認知・行動療法学会
- 雑誌
- 行動療法研究 (ISSN:09106529)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.1, pp.1-11, 2011-01-31 (Released:2019-04-06)
本研究の目的は、幼児を持つ母親の自動思考を測定する育児自動思考尺度(ATQ-CR)を開発し、ストレス反応との関連について検討することであった。予備調査1にて、育児ストレス場面を抽出し、予備調査2にて、四つの育児ストレス場面、78の自動思考項目を抽出した。本調査では、探索的因子分析、高次因子分析を行い、ネガティブ思考29項目、ポジティブ思考14項目が抽出された。ATQ-CRの内的整合性は高く(ネガティブ思考因子α=.90、ポジティブ思考因子α=.76)、妥当性は、内容妥当性と基準関連妥当性の観点から確認された。SOMモデルに基づき、自動思考のバランスとストレス反応の関連性について検討した結果、ネガティブ寄り群、中立群のほうがポジティブ寄り群よりもストレス反応が有意に高かった。本研究の結果から、育児中の母親に対して自動思考に焦点を当てたストレスマネジメント介入の必要性が示唆された。