著者
若山 俊隆 丸山 直子 加藤 綾子 水谷 康弘 東口 武史
出版者
埼玉医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

患者によって異なる外耳道の3Dマップを個別に取得し,最適化された音を鼓膜に伝えることができれば,うつ病や認知症の抑制に貢献できる.研究対象となる外耳道の緩やかなS字を描くような湾曲した細い管の形状を計測する方法は,医療分野にとどまらず産業分野においても必要不可欠な医術であるが,これを達成する方法は確立されていない.このような研究背景から,本研究では三次元音響解析からハウリングを起こしにくい発振器の最適な位置と角度を明らかにする外耳道完全3Dマップを作成するために,極細径の新規な円管ビーム光源と三次元動作解析により,湾曲した外耳道を形状計測できる光スキャナの開発を目的にしている.本研究では,従来の樹脂を用いた外耳道の型取りをなくし,光計測で瞬時に型取りするパラダイムシフトを起こす.このような研究目的を達成するために,本年度は細径の内管の内壁の三次元形状を計測するための方法を提案し,直径3 mmの細径光スキャナを開発した.本手法によって従来までは困難であった外耳道の形状計測を可能とした.さらに本方法に多関節アームを導入することで湾曲した外耳道の3Dマップを達成した.実験サンプルには外耳道模型を購入し、形状計測を行った.得られた光スキャナの結果をマイクロフォーカスX線CTの結果と比較すると計測エリア全体で0.5 mm以下の一致となった.通常、マイクロフォーカスX線CTでは被爆がある.また、シリコンなどの印象材では外耳道を傷つける恐れもあるが、本手法は非侵襲かつ非接触にこれらを計測することを実現した.その一方で,提案した方法の問題点も山積していることも明らかになった.次年度以降はこれらの問題点を突破することを目指す.それと共に取得された外耳道の形状から補聴器への応用を考えていく.
著者
湯上 登 東口 武史 伊藤 弘昭
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

超高強度超短パルスレーザー(ITW,100fs)を窒素ガス(50Pa)に集光し、そこから発生する電磁波の観測を行った.観測された電磁波のパルス幅は、実験条件には依存せず、200ps程度であった.電磁波の周波数は、周波数によって異なる感度を有する4種類のディテクターを用いて行った.電磁波は、レーザー進行方向に対して、30度程度の方向に強く放射され、コーン状の分布を有していることが確認された.また、電磁波の偏向方向は半径方向を向いていることが、すべての周波数領域において確認された.周波数の上昇とともに、放射角度が浅くなる傾向にあった.周波数は最大300GHzが観測されている.この実験結果を説明するために、プラズマ導波路を考えた.つまり、高強度レーザーが集光するとそのポンデラモーティブカによって、電子は排除されイオンだけが残った円筒状のプラズマ柱が形成される.イオンの電場を感じて電子は振動運動をすることになり、それが電磁波の放射を生み出す結果となる.電子の振動は径方向であるので、電磁波のモードはTMO1モードとなり、これは電磁波の偏向が半径方向である事実に適合する.また、数値計算を行ったところ、電磁波の周波数広がりが実験結果とよく一致した.また,高周波数の成分が浅い角度で放射される実験結果と一致する結果を得ている.以上より、レーザープラズマからの電磁波放射に関しての知見が得られ、今後高周波化、テラヘルツ化の実験の指針を得ることができた.