著者
小薮 大輔 飛龍 志津子 小林 耕太 東山 大毅 福井 大
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2018-10-09

本年度はこれまでベトナムで収集したコウモリ類の胎子標本を発生ステージ表を参照してステージの同定を行った。また収集した標本はPFA固定、カルノア固定、エタノール固定をそれぞれ行った。それらをマイクロCTによる三次元的非破壊撮影を行ったのち、パラフィン包埋標本・凍結標本を順次作成し、アセチレッテドチューブリンを用いた神経系の免疫組織化学染色、ヘマトキシリン・エオシンを用いた筋系・硬骨・軟骨の組織染色を行った。また、Ptch1, Ihh, Runx2, Sox9, Aggrecan 各遺伝子のRNAプローブの作成を進め、その合成に成功した。予察的にこれらのRNAプローブによるin situ ハイブリダイゼーション実験を開始したが、高品質の染色結果を得ることに成功した。新年度以降は本格的にこれらを用いてコウモリ類における舌骨発生に関連する遺伝子の発現パターンの把握を目指す。また、野外においてコウモリ類の超音波発生および聴取の行動を三次元動画記録、音声ソノグラム記録を行い、コウモリ類のエコーロケーション行動の把握につとめた。さらに、野外で捕獲したコウモリ類の成体に対し、脳幹上丘に刺激用双極電極を挿入して刺激に対する超音波発声および耳舌骨を含む外耳の動きを計測した。刺激部位に逆行性神経トレーサ・フロオロゴールドを注入し、刺激量および刺激部位を変量として、外耳の動き、発声タイミング、発声の音響特性が脳幹上丘内でどのように表象されているかの把握を進めた。また本年度はタイ・プーケットで行われたコウモリ類国際研究会議に参加し、本課題に大きく関連した研究発表を行うとともに、各国研究者と討議を行った。