- 著者
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皆川 修人
櫻井 伸行
高橋 一生
江村 菜津子
東間 千芽
橋爪 力
澤井 健
- 出版者
- 日本繁殖生物学会
- 雑誌
- 日本繁殖生物学会 講演要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.109, pp.P-93-P-93, 2016
<p>【目的】miRNAの生合成を抑制したマウス胚では胚性致死となることから,miRNAを介した遺伝子発現制御が初期胚発生において重要な役割を担うと考えられる。miRNA-34cは,マウス胚において1-細胞期から発現量が上昇し,その機能を阻害すると卵割が停止する。またmiR-93およびmiR-34aはマウス胚性幹細胞および人工多能性幹細胞においてSox2や,Nanogの発現を制御している。しかし,ブタ胚においては上記miRNAの発現動態およびその機能は不明である。そこで本研究ではブタ初期胚における上記3つのmiRNAの発現動態とmiR-34cが初期胚発生に及ぼす影響について検討した。【方法】ブタ卵子(M-Ⅱ期)およびブタ体外受精(IVF)胚の1-細胞期,2~4-細胞期,8~16-細胞期,桑実期および胚盤胞期でのmiR-34a,miR-34cおよびmiR-93の発現量を解析した(実験1)。またmiR-34cに結合し,その機能を阻害するmiR-34c inhibitorを1-細胞期胚に注入し,その後6日間体外発生させ,胚盤胞期までの発生率を検討した(実験2)。処理区は,miR-34c inhibitor区および特定のmiRNAの機能阻害効果も持たないNon-effect inhibitor区とした。【結果および考察】実験1において,3種のmiRNAはいずれも全発生ステージで発現が確認された。miR-34cおよびmiR-93については各発生ステージにおいて有意な差は認められなかった。miR-34aについては桑実期および胚盤胞期において,発現量が他の発生ステージよりも有意(P<0.01)に高い値を示した。実験2おいて,miR-34c inhibitor区およびNon-effect inhibitor区で発生率に有意な差は認められなかった。本研究の結果より,ブタ初期胚における3種のmiRNAの発現動態が明らかとなった。マウス胚においてmiR-34cは受精後の1細胞期から発現量が上昇するが,ブタ胚においては受精以前のM-Ⅱ期から発現が認められた。またmiR-34cに関しては,その機能阻害が胚発生に影響をおよぼさなかったことから,初期胚発生におけるmiR-34cの機能は動物種によって異なることが示唆された。</p>