著者
松下 啓子 黒田 研二
出版者
関西大学人間健康学部
雑誌
人間健康学研究 = Journal for the study of health and well-being (ISSN:21854939)
巻号頁・発行日
no.13, pp.55-68, 2020

本研究は先行研究から市民後見人の概念を構成する要素と要件を整理し、それをもとに市民後見人の新たな定義づけを試みることを目的としている。CiNii で「市民後見」、「社会貢献型後見人」、「区民後見人」をキーワードとして検索したところ158件がヒットした。そのうち関連の薄いものを除くと11件であった。さらに専門誌『実践成年後見』から手作業で3件を選択した。合計14件をレビュー対象とし、市民後見人を規定する記述を取り出して検討した。その結果、市民後見人の概念を構成する要素を「候補者個人の属性」、「地域性」、「支援組織による養成と継続した活動支援」、「活動形態」、「市民による権利擁護活動」、「報酬の意味」の6つに分類することができた。さらにこの6つの要素を「個人の要件」、「支援体制の要件」、「活動の要件」の3つの要件に整理した。これらの要素と要件から市民後見人の新たな定義を次のように提示した。「市民後見人とは自治体や自治体の委託機関が実施する養成研修を受講し、後見人として必要なスキルを身に付けた上、継続した支援を受けながら地域における福祉活動・権利擁護活動を実践する人々である。専門職の資格の有無は問わないが、これらの活動を職業として行うことはなく、地域での社会貢献として行う」黒田研二教授退職記念号
著者
松下 啓 杉本 徳一郎 岩本 彩雄 大池 裕美子 多川 斉 福内 敦
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.30, no.10, pp.1259-1262, 1997

症例: 40歳, 男性. 慢性糸球体腎炎による慢性腎不全にて1980年5月血液透析に導入. 1995年8月, 発熱, 悪寒, 関節痛にて入院した. 両肩・臀部等に著明な異所性石灰化を認め, アスペルギルス性膿胸と二次性副甲状腺機能亢進症の合併と診断した. 胸腔の排膿洗浄および抗真菌薬投与を開始したが, 臨床症状・炎症反応の改善はみられなかった. 副甲状腺摘除術を契機に炎症反応が改善し, 関節痛が軽減した. 深在性真菌症の発症頻度は低いが, 長期透析患者の合併症として注意すべきである. アスペルギルス性膿胸の発症経過に二次性副甲状腺機能亢進症が深く関わった可能性があると考えられた.