著者
三宅 貞祥 松下 愛子
出版者
福岡女子大学
雑誌
生活科學 (ISSN:05593042)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.97-104, 1954-04-30

1)福岡市においては8〜9月交尾せしめるときは,まもなくcement si andの発育がおこり,およそ1ヵ月後にぱ最盛期に達し,その後1ヵ月以内に産卵する。2) cement eland の発育程度を肉眼的に観察するには,尾脚にあらわれる斑紋に注目してその発育の程度を知ることができる。その発育期間をA, B, C期の3期に区別して実験結果を確かめる目標とした。3)尾脚にみられる斑紋は交尾後数日にして出現するため,野外から採集した雌の交尾の有無を識別して,諸種の実験に供する便宜がある。4)本実験の結果では交尾後sinus glandがcement glandの発育を抑制する働きについては明らかな効果が認められなかつた。5)交尾後眼柄を切除する時期によつてsinus glandの脱皮作用及び産卵を抑制する働きに時期的なずれのあることが認められた。即ち交尾後cement glandの分泌開始期(A期及びB期)までに限柄を切除するときは脱皮作用が促進され,その分泌の最盛期(C期)後に眼柄を切除するときは産卵が予定よりも旱期におこることが認められた。