著者
林 文子 Udijanto Tedjosasongko 粟根 佐穂里 岡田 貢 香西 克之 長坂 信夫
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.708-715, 1999-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
32
被引用文献数
2

日本茶,ウーロン茶,紅茶などの各種茶のフッ素溶出濃度を測定し,齲蝕予防への効果を検討するため,宇治産および静岡産煎茶,静岡産ほうじ茶,中国産ウーロン茶,スリランカ産紅茶を材料とし,浸出温度50℃,60℃,70℃,80℃ および90℃,浸出時間30秒,1分,2分,5分および10分の各条件下で浸出した茶浸出液のフッ素溶出濃度を測定し,以下の結果を得た。1)温水で浸出した場合のフッ素溶出濃度は,浸出温度にかかわらず紅茶,ほうじ茶,煎茶,ウーロン茶の順に高く,その濃度は浸出温度80℃,浸出時間2分の場合紅茶1.82ppm,ほうじ茶1.02ppm,煎茶(宇治産,並級,古茶)0.80PPm,ウーロン茶0.48PPmであった。2)煎茶においては保存期間にかかわらず,並級の方がフッ素溶出濃度が高い傾向がみられた。また,産地別では宇治産のものにフッ素溶出濃度が高い傾向がみられた。3)水だしした場合のフッ素溶出濃度は,ほうじ茶(3.69ppm),ウーロン茶(2.18ppm),煎茶(1.39PPm),紅茶(1.58PPm)の順に高かった。以上の結果より,茶浸出液のフッ素溶出濃度は茶の産地や製法で異なり,煎茶においては,一般に下級と言われる硬化した下位葉を使用した茶に多く含まれていることが示された。これらの結果は,齲蝕予防における食生活指導への茶飲料の効果的な利用を示唆するものである。
著者
海原 康孝 天野 秀昭 三浦 一生 長坂 信夫 石田 房枝
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.695-699, 1999-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
16
被引用文献数
1

うつぶせ寝育児が顎顔面歯列の形態や咬合に与える影響について,歯科的検討が行われている。本研究では側貌頭部エックス線規格写真分析により,乳児期にうつぶせ寝で育てられた小児の乳歯列期における顎顔面形態について検討し,日本小児歯科学会の標準値と比較した結果,以下のような傾向が認められた。1)男子はS-Nが大きい傾向が認められ,女子はS-N,N-Me,A'-Ptmが大きい値を示した。2)Facial angleが小さく,Y-axisが大きい傾向が認められた。3)プロフィログラムからは,特に男子において下顎の後退傾向が認められた。以上より,うつぶせ寝で育てられた小児の顎顔面形態は,前脳頭蓋底および顔面高さが長く,下顎が後退する傾向が認められた。
著者
林 文子 Tedjosasongko Udijanto 粟根 佐穂里 岡田 貢 香西 克之 長坂 信夫
出版者
The Japanese Society of Pediatric Dentistry
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.708-715, 1999

日本茶,ウーロン茶,紅茶などの各種茶のフッ素溶出濃度を測定し,齲蝕予防への効果を検討するため,宇治産および静岡産煎茶,静岡産ほうじ茶,中国産ウーロン茶,スリランカ産紅茶を材料とし,浸出温度50℃,60℃,70℃,80℃ および90℃,浸出時間30秒,1分,2分,5分および10分の各条件下で浸出した茶浸出液のフッ素溶出濃度を測定し,以下の結果を得た。<BR>1)温水で浸出した場合のフッ素溶出濃度は,浸出温度にかかわらず紅茶,ほうじ茶,煎茶,ウーロン茶の順に高く,その濃度は浸出温度80℃,浸出時間2分の場合紅茶1.82ppm,ほうじ茶1.02ppm,煎茶(宇治産,並級,古茶)0.80PPm,ウーロン茶0.48PPmであった。2)煎茶においては保存期間にかかわらず,並級の方がフッ素溶出濃度が高い傾向がみられた。また,産地別では宇治産のものにフッ素溶出濃度が高い傾向がみられた。3)水だしした場合のフッ素溶出濃度は,ほうじ茶(3.69ppm),ウーロン茶(2.18ppm),煎茶(1.39PPm),紅茶(1.58PPm)の順に高かった。<BR>以上の結果より,茶浸出液のフッ素溶出濃度は茶の産地や製法で異なり,煎茶においては,一般に下級と言われる硬化した下位葉を使用した茶に多く含まれていることが示された。これらの結果は,齲蝕予防における食生活指導への茶飲料の効果的な利用を示唆するものである。
著者
鍋島 耕二 石川 隆義 三浦 一生 長坂 信夫
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.415-422, 1988-06-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
38

舌の先天異常としては,舌癒着症,葉状舌,巨舌症,小舌症,無舌症などがある.そのうちの小舌症,無舌症はきわめて稀な疾患である.我々は,本学小児歯科外来を訪れた8歳5カ月の男児の小舌症に遭遇し,次の所見を得た.1.患児に,小舌症,下顎前歯部の先天性欠損,上下顎の劣成長,高口蓋,口蓋粘膜下破裂を認めた.また,先天性心室中隔欠損症の既往があった.2.舌は口腔底のほぼ中央部に位置し,舌根部に異常はないが,舌体は長さ約2cm,幅約1cmで舌尖に向かって狭いV字状の形態を示した.3.舌の運動,嚥下運動,味覚の異常は認めなかった.また発音は,舌背が軟口蓋に接触してできる「キ」「ギ」「ケ」「ゲ」などの破裂音に歪を認めたが,他の構音障害は軽度で日常会話はかなり明瞭であった.4.妊娠2カ月時の風疹ウイルスによる子宮内感染が原因の1つとして考えられた.5.今後,小舌症自体の手術等による処置は不可能と考えられるが歯列,歯周組織を含めた総合的な口腔管理の必要性があると思われた.
著者
山本 益枝 宮崎 結花 三浦 一生 長坂 信夫
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.86-94, 1991
被引用文献数
7

我々はスポーツドリンクの脱灰能とそれに影響を及ぼす要因との関連を明らかにする目的で,スポーツドリンクの性状分析と,ハイドロキシアパタイトからのCa溶出量測定を行い,以下のような結果を得た.<BR>1)スポーツドリンクのpHは,2.91~4.07であった.<BR>2)スポーツドリンクの主糖質量は3.24~5.95%であり,糖質の種類は,Sucrose, Glucose, Fructoseが主となっているが,その割合は,各スポーツドリンクによって異なっていた.<BR>3)スポーツドリンクによるハイドロキシアパタイトからのCa溶出を経時的に観察し,スポーツドリンクの H, Ca濃度と, 溶出パターンの関係を検討すると, 攪拌時間1分及び5分では,スポーツドリンクのpHとCa溶出量との間に負の相関を,また,10分及び20分ではスポーツドリンクのCa濃度とCa溶出量との間に負の相関を認めた.<BR>4)スポーツドリンクに糖質を添加しても,ハイドロキシアパタイトからのCa溶出量に影響は認められなかった.<BR>従って,歯牙がスポーツドリンクに接する初期の段階においては,pHの低いものほど歯牙脱灰量は多く,また,歯牙が長時間同じスポーツドリンクに浸漬されているような場合には, そのCa濃度が低いものほど歯牙脱灰量は多いと考えられる.

1 0 0 0 歯の健康

著者
長坂信夫編著
出版者
医歯薬出版
巻号頁・発行日
1989
著者
長坂信夫編集
出版者
南山堂
巻号頁・発行日
1990
著者
香西 克之 山木戸 隆子 鈴木 淳司 長坂 信夫
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.751-755, 1994

歯口清掃の重要性は,近年ますます大きくなっているが歯口清掃器具の管理については,十分な指導がなされていないように思われる.今回我々は,歯口清掃器具の使用後の汚染を細菌学的に調査する目的で,本学小児歯科に来院した3-12歳までの45名の小児に対して,歯口清掃後の歯ブラシを任意に洗浄してもらい,その歯ブラシに残存している付着細菌数を測定し,以下の結果を得た.<BR>1.洗浄後の付着細菌数は歯ブラシ1本当たり,最少で3.5×103コロニー,最多で3.7×106コロニー,平均4.8×105コロニーと非常に多くの付着細菌が検出された.<BR>2.歯ブラシの洗浄方法によって付着細菌数は大きな差を生じたが,流水中での歯ブラシ洗浄が有意に少なかった.<BR>3.さらに聞き取り調査も行った結果,家庭における歯口清掃器具の洗浄や管理には不十分な点が多く,これらについての指導の必要性が指摘された.
著者
宮迫 隆典 一瀬 智生 市川 史子 吉田 かおり 山本 益枝 信家 弘士 長坂 信夫 川端 康司
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.970-978, 1992
被引用文献数
1

我々は,小児の健全な成長発育を把握し,地域の歯科医療の推進に貢献する目的で,広島県湯来町の保育所および幼稚園の協力を得て,昭和62年より毎年,幼児の歯科検診を実施し,幼児の口腔内の縦断的観察を行っている。今回,幼児の生活環境のアンケート調査を行い,以下の結果を得た。<BR>1)自分自身の齲蝕予防に心がけている親は41.9%であった。<BR>2)幼児の食生活では,果実,菓子類が好まれ,野菜類は好まれない傾向が認められた。おやつの回数は, 通園日1 日1 回および休園日1 日2 回が約80%を占めた。また, 6歳児の買い食いは, 4歳,5歳児の15~20%と比較して, 約40% と増加しており, 6 歳と他の年齢間に統計的有意差を認めた。<BR>3)幼児の歯磨きでは,朝食後と就寝前の歯磨きが70%以上を占め,就寝前以外の歯磨きでは,幼児自身が磨くことが多く,時間も短かったが,就寝前の歯磨きでは,過半数以上の親が手伝い,3分以上磨く者の割合が多かった。<BR>4) 親子関係では, 親自身が齲蝕予防に心がけている方が心がけていない方より, 朝食後,夕食後に子供の歯磨きをよく手伝い,おやつを与える回数も少なく,統計的有意差を認めた。
著者
宮迫 隆典 一瀬 智生 市川 史子 吉田 かおり 山本 益枝 信家 弘士 長坂 信夫 川端 康司
出版者
The Japanese Society of Pediatric Dentistry
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.970-978, 1992
被引用文献数
1

我々は,小児の健全な成長発育を把握し,地域の歯科医療の推進に貢献する目的で,広島県湯来町の保育所および幼稚園の協力を得て,昭和62年より毎年,幼児の歯科検診を実施し,幼児の口腔内の縦断的観察を行っている。今回,幼児の生活環境のアンケート調査を行い,以下の結果を得た。<BR>1)自分自身の齲蝕予防に心がけている親は41.9%であった。<BR>2)幼児の食生活では,果実,菓子類が好まれ,野菜類は好まれない傾向が認められた。おやつの回数は, 通園日1 日1 回および休園日1 日2 回が約80%を占めた。また, 6歳児の買い食いは, 4歳,5歳児の15~20%と比較して, 約40% と増加しており, 6 歳と他の年齢間に統計的有意差を認めた。<BR>3)幼児の歯磨きでは,朝食後と就寝前の歯磨きが70%以上を占め,就寝前以外の歯磨きでは,幼児自身が磨くことが多く,時間も短かったが,就寝前の歯磨きでは,過半数以上の親が手伝い,3分以上磨く者の割合が多かった。<BR>4) 親子関係では, 親自身が齲蝕予防に心がけている方が心がけていない方より, 朝食後,夕食後に子供の歯磨きをよく手伝い,おやつを与える回数も少なく,統計的有意差を認めた。