著者
松下 拓 松井 佳彦
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、遺伝子組み換え技術により発現させたノロウイルス外套タンパクと、ヒト水系感染症ウイルスを、全国の浄水場から送付いただいた水道原水に添加し、回分式凝集沈澱処理実験より浄水処理性を調べた。その結果、通常の浄水処理における凝集沈澱処理でのノロウイルスVLPsを含むヒト感染ウイルスの除去率は0~2.5 log程度であることが分かった。また、大腸菌ファージMS2はヒト感染ウイルスの代替指標として使うのは難しく、大腸菌ファージφX174の方が代替指標として適する可能性が示された。
著者
小坂 浩司 浅見 真理 佐々木 万紀子 松井 佳彦 秋葉 道宏
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.125-133, 2017
被引用文献数
3

全国の水道事業を対象に2009~2011年度の原水での農薬の測定計画と検出状況の関連性を水道統計のデータを基に解析した。農薬を測定した水道事業は約650, その約20%で農薬が検出された。農薬を測定した水道事業を水道水源, 農薬の測定回数と測定種類数で分類したとき, 地表水を水源とし農薬の測定回数と測定種類数が多い水道事業のグループは農薬を検出した水道事業の割合 (検出率) や検出された農薬の種類数が多かった。農薬の測定回数が1回のグループは農薬が検出された水道事業の割合は少なく, その多くは1種の農薬を単年度のみで検出していた。地下水を水道水源に使用している水道事業は総じて検出率は低かった。検出された個別農薬は77種, 比較的多くの水道事業 (10以上) で検出されたのは10種程度であった。検出される可能性がある農薬には地域多様性があるが, いくつかは全国の多くの水道事業から検出される可能性が示された。