著者
中里 トシ子 下坂 智恵 松井 能子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.216-221, 1991-08-20
被引用文献数
4

ライ麦粉添加食パンに,クエン酸カルシウムおよびレモン汁を添加したときの,パンの品質や性状について検討を行った。1.官能検査において,クエン酸カルシウムを添加したパンは,弾力の点で好まれず,硬く,ぱさついたパンであり,香りの点では対照のパンよりも好まれた。レモン汁を1%添加したパンは香りがよく,弾力の点で好まれ,やわらかく,ぱさつかないパンという評価であった。2.クリープメータによるパンの硬さでは,対照パンに比ベクエン酸カルシウムおよびレモン汁0.5%添加したパンは硬い傾向を示し,レモン汁添加量を1,2,3%と増加させるに従ってやわらかくなる傾向がみられた。凝集性では,レモン汁1%以上添加したパンは,対照より高い値を示した。硬さと凝集性の間に負の相関が認められた。3.混捏直後,1次発酵後,2次発酵後のpHを測定したところ,いずれの生地も発酵時間が進むにつれてpHは低下し,レモン汁を添加した生地のpHは,レモン汁の添加量が増加するにつれて低下した。4.ライ麦粉添加食パンの生地の膨化率を測定した結果,ライ麦粉40%添加した生地の方が50%添加したものよりも膨化がよかった。レモン汁を添加すると,生地の膨化はよくなる傾向にあるが,レモン汁を3%添加した生地は,対照とほぼ同じ値であった。5.パンの比容積は,ライ麦粉40%添加食パンの方が50%添加食パンよりも大きく,レモン汁を1%添加したパンが最も大きかった。