著者
松元 亮治 高橋 博之
出版者
プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.89, no.12, pp.864-867, 2013-12

X線天文衛星やガンマ線望遠鏡等による観測を通して,突発的なX線・ガンマ線増光を示す天体が多数発見されてきた.これらのフレア現象では,太陽フレアに類似した天体表面で発生する磁気エネルギー解放に加えて,中心天体の周りに形成される降着円盤および降着円盤コロナ,中心天体近傍から噴出するジェット・アウトフロー中での磁気エネルギー解放と粒子加速が寄与していると考えられている.ブラックホール近傍から噴出するジェットやパルサー風では電磁エネルギーをいかにして熱エネルギーや運動エネルギーに変換するかが問題となっており,その機構として磁気リコネクションによる磁気エネルギー散逸が候補になっている.高エネルギー宇宙物理学分野は相対論的な磁気リコネクションおよび粒子加速の理論・シミュレーション研究と観測・実験の連携を通して急進展が期待される分野であり,100年来の課題である宇宙線加速機構の研究も新たな段階に入りつつある.
著者
工藤 哲洋 横山 央明 松元 亮治 工藤 祐己 那須田 哲也 町田 真美 鈴木 昭宏
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

太陽は恒星の集団である銀河に属し、恒星間には希薄な星間ガスが存在しています。そして、星間ガスには磁場が存在し、太陽のような恒星が星間ガスから誕生する時に大きな影響を与えています。しかし、星間磁場がどのように維持されているのかはよくわかっていません。私たちは、星間磁場の維持増幅機構(銀河のダイナモ機構)に興味を持ち、その機構に重要な不安定性を研究しました。特に、星間空間に存在する宇宙線と呼ばれる高エネルギー粒子に着目し、それが不安定に寄与する事で、銀河の中における星間ガスの密度や磁場の分布が大きく変化を受けることを発見し、それがダイナモ機構に影響を与えうることを確認しました。