著者
松原 伸一
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は,学習者の自己教育力を高めるための自己意識形成を支援するシステムの開発に関するものである。本研究の成果は,【encircled 1】授業展開の学習モデルの提案とその支援システムに関するもの,【encircled 2】自己教育力を高めるための分析視点の育成に特化した二値応答接近法の開発に関するもの,【encircled 3】自己教育力を高めるための状況下における質問とその応答に関するものに大別される。【encircled 1】は主に初年度に行われたもので,抽象的で曖昧な自己の持つ意識・概念を分かりやすく表現し,思考活動を活性化させることにより,問題を自ら意識させ,反省を促して,行動変容を自然な形で起こさせるようなソフトな学習(変容)モデルを前提としている。このような視点に立ち授業展開の学習モデル構築のための支援システムとしてハイパーテキストファイル生成システム(HTFGS)を開発した。【encircled 2】は第2年度において開発されたもので,学習環境および支援環境を検討し学習者の思考活動をさらに支援することを目的に,連想の考え方を取り入れ分析的視点の育成に特化した手法であり,これを二値応答接近法(BRAM:Binary Response Approaching Method)と名づけた。この方法は,ある刺激語を学習者に与えて連想させることにより,表出された語(連想語)を対象として,それらを分析するための思考活動を支援する方法である。第3年度においては,本手法を充実させる上で分析手法の拡張・充実が急務であったので,これを整理し分析手法を開発した。ここで開発された二値応答接近法の分析体系は,項目分析,関連分析,応答パターン分析(列パターン分析,行パターン分析,マトリックスパターン分析,2次元ソート分析,応答距離分析)および理由分析である。【encircled 3】については,第3年度に成果を得たもので,情報教育または情報技術教育において学習者が発する質問を状況設定の条件のもとに,被験者による応答実験を行ったものである。
著者
水野 義之 菅井 勝雄 松原 伸一 三宅 正太郎
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, 1998

近年, 情報・環境などをテーマとする総合的学習への対応や, 自然科学分野を選択する生徒の減少などが問題となる一方, 欧米を中心に技術リテラシーの育成が話題になっています。そこで, 本シンポジウムでは, 最先端の物理を教育現場に届けるWebサイトの裏方を務めながら基礎科学の重要性を訴えておられる水野先生, Technology for All Americansの動きを調べながら科学に根ざした新しい技術教育を模索されている松原先生, 社会と科学や新しい技術との関係を社会的構成主義の立場から検討されている菅井先生, 新しいメディアの活用を受け手である学習者の立場から検討されている三宅先生に, これまでの取り組みや展望を話し合っていただきたいと思っております。