著者
塔村 真一郎 亀田 恒徳 宮本 康太 松原 恵理
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

スズメバチは木くずを唾液で固めて巣を作ることから、スズメバチの唾液が木くずの接着剤として機能することに着目し、唾液中に含まれる有効成分を単離・同定することで、天然系の構造用木材接着剤を開発することを目的とする。入手できたキイロスズメバチ等複数種の巣を解体して内部構造を調べたところ、巣は多層構造となっており、各巣盤をつなぐ支柱は長さがどれもほぼ一定であること、また直下の巣盤の面積や重さに応じた支柱の径や本数で構成されていることがわかった。またキイロスズメバチおよびコガタスズメバチの成虫の唾液腺および巣から抽出した成分の単離・同定を試み、それらの接着性能について検討した。
著者
小山 太 清水 邦義 松原 恵理 吉田 絵美 近藤 隆一郎
出版者
一般社団法人 日本木材学会
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.370-376, 2011-11-25
参考文献数
23
被引用文献数
2

スギ製材工程で大量に発生する樹皮の有効利用を図るため,スギ樹皮のアンモニア吸着能に着目した鶏ふん堆肥化過程の臭気低減効果について検討した。粉砕処理したスギ樹皮を620ppmに調製したバッグ内のアンモニアガスと5分間接触させたところ99.5%のアンモニアが除去された。鶏ふん堆積物の表面をスギオガクズまたはスギ樹皮で被覆し,堆肥化過程で発生するアンモニアの吸着を試みたところ,スギオガクズは1g当たり11mgのアンモニアを吸着したのに対し,スギ樹皮では33mgに達した。堆肥化後,スギ樹皮中の窒素の形態を調査したところ,水溶性窒素が22%,イオン交換性窒素が23%,有機態窒素47%であり,高い陽イオン交換能に伴うイオン結合だけでなく,共有結合による除去も示唆された。スギ樹皮は,アンモニアガス発生源の表面を被覆するだけで発生量を抑制でき,安価で簡便な臭気対策資材としての活用が期待される。