著者
松吉 大輔
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、質問紙により測定される自閉症傾向 (Autism-Spectrum Quotient, AQ) の個人差と、実験により測定される行動成績との相関を男女別に検討することで、自閉症スペクトラム (ASD) を構成する行動特性の連続性の男女差を明らかにすることを目的とした。視線認知、低次幾何学形態認知、顔の短期的な遅延再認、顔再認記憶の行動成績との関連を検討した結果、視線認知かつ男性のみにおいて自閉傾向を示すAQとの相関が認められた。この結果は、視線認知が必ずしも両性の自閉症中間表現型となっていないことを示すのみならず、自閉傾向と行動を考える上で性差を考慮することの重要性を示したと言える
著者
松吉 大輔
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

これまでの視覚的ワーキングメモリ研究は、ヒトは常に3-4個の物体を保持できると仮定してきた。しかし、申請者の研究は、その仮定が必ずしも正しくない事を明らかにした。具体的には、従来3個程度の物体を保持できていた人であっても、大量の物体を呈示された場合には2個程度しか保持できなくなることを見出した。また、高齢者においてはそれがより顕著であり、通常は2個の物体が保持できるにもかかわらず、大量の物体が呈示されると、1個しか保持できなくなることが明らかになった。そして、この記憶不全は、頭頂葉ではなく後頭葉の活動低下により媒介され、頭頂葉から後頭葉への信号伝達の失敗に起因している可能性を示した。