著者
吉岡 秀克 松尾 哲孝 住吉 秀明 調 恒明 浜中 良志 二宮 善文
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究において以下の結果を得た。1.マウスV型コラーゲンα3鎖遺伝子の転写調節及び機能解析オリゴキャップ法により遺伝子の転写開始点を決定した。主な転写開始点は翻訳開始点約100bp上流に存在した。次に、この転写開始点上流約L8 kbの遺伝子断片をクローニングし、この遺伝子の基本プロモーター活性を検討した。基本プロモーターは転写開始点上流約300bpの領域に存在した。さらにゲルシフトアッセイ法により、BS1(-130〜-110)、及びBS2(-190〜-170)の領域にDNA/タンパク複合体の存在が認められ、その中でBS2に結合する転写因子はCBF!NF-Yと考えられた。プロα3鎖のN末の23個のアミノ酸よりなる塩基性セグメントが存在する。この塩基性のセグメントに骨由来細胞に対する細胞接着活性がある。このペプチドへ細胞が接着するとアクチンファイバーが形成され、これはRhoキナーゼ阻害剤であるY27632で阻止された。2.III型コラーゲンα1鎖遺伝子の転写調節解析ルシフェラーゼアッセイの結果、ヒト遺伝子のプロモーターの-96〜-34に最小の転写活性が見られた。ゲルシフトアッセイにより、-79〜-63の領域には複数の因子が結合することがわかった。以前より報告されている因子(BBF)は細胞によって、その複合体を形成する因子の槽成が異なると思われた。3.マウスXXIV型コラーゲンα1鎖遺伝子の転写調節解析XXIV型コラーゲンは最近、見出されたコラーゲンであり、主に骨に発現するが、その発現量は非常に少ない。今回、このプロモーター領域のDNAをクローニングし、転写調節機構の解析を行った。その結果、骨肉腫細胞を用いた実験により、このプロモーターにはc-Jun、CREB1、ArF1、ATF2が結合していることを見出した。
著者
松尾 哲孝
出版者
大分医科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

申請者は、茶カテキン類が肥満細胞株RBL-2H3細胞およびラット腹腔内細胞(PEC)のケミカルメディエーター(ヒスタミン及びロイコトリエン、LT)放出をin vitroで抑制することを既に明らかにしている。そこで本研究は、茶カテキン類の生体内での肥満細胞のケミカルメディエーター放出抑制効果について検討した。まず、茶カテキン類の中で最も強い抑制活性を示したEGCGをラット腹腔内に投与すると、A23187の刺激によるヒスタミン放出を抑制することがわかった。次に、茶カテキン類の経口投与における肥満細胞のケミカルメディエーター放出抑制効果について検討した。サフラワー油・月見草油・パーム油の3種の食餌脂肪に茶カテキン類を1%(w/w)添加してラットに3週間自由摂食させ、A23187で刺激したときに放出されるケミカルメディエーター量を測定した。その結果、茶カテキン類のヒスタミン抑制効果は認められなかったが、LT放出においては、すべての食餌脂肪群で抑制効果が認められ、特にサフラワー群ではその活性が強かった。また、月見草群では、LTB_4およびLTB_5の両方の放出を抑制した。さらに、PEC細胞膜リン脂質の脂肪酸組成を調べたところ、サフラワー群ではLTB_4の前駆物質であるアラキドン酸の有為な低下が認められたが、その他の群ではこのような効果は認められず、茶カテキンの抑制効果は、LTの前駆物質減少以外にも関与している可能性が示唆された。