著者
本田 和也 森塚 倫也 伊藤 健大 松尾 彩香 日宇 健 川原 一郎 小野 智憲 原口 渉 牛島 隆二郎 堤 圭介
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10802, (Released:2020-08-31)
参考文献数
40

要旨:日本における脳卒中診療は,患者数増加・高齢化等,多様な問題に直面しており,専門医不足に伴う過重労働や燃え尽き症候群が危惧されている.医師以外の人的資源を有効活用した診療システムが必要であり,高度実践看護の能力を持つ nurse practitioner(NP)はこの診療分野に貢献し得る.NPは医師の指導・協働下に,専門性の高い特定行為や医師業務の代行が可能であり,脳卒中チーム内の多職種ならびに患者・家族間をコーディネートする中核的存在としても活躍している.米国ではすでに半世紀前より,医師の過重労働を予防・緩和する解決策のひとつとして,NP制度が多方面の医療現場で積極的に導入されてきた.NPの能力・技量や果たし得る業務の可能性は,未だ医師の間で十分に認識されている状況ではない.日本版NPは,今後の本邦脳卒中診療システムを改革する医療職として期待される存在である.